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琉球の歴史に刻む「涙のゴール」 番狂わせ呼んだ白井の1発 古巣に決勝弾 沖縄 <サッカールヴァン杯>


琉球の歴史に刻む「涙のゴール」 番狂わせ呼んだ白井の1発 古巣に決勝弾 沖縄 <サッカールヴァン杯> FC琉球OKINAWA―ガンバ大阪 後半、決勝ゴールを決めるFC琉球の白井陽斗(左)=24日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム(ジャン松元撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 大城 三太

 沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで24日に行われたJリーグYBCルヴァン・カップ1次ラウンド2回戦で、J3のFC琉球OKINAWAが2―1でJ1ガンバ大阪を退けた。前半43分に富所悠のシュートで先制した。後半序盤に同点弾を決められたが、31分に白井陽斗がGKとの1対1勝負で確実にゴールに押し込み、勝利を引き寄せた。FC琉球OKINAWAは5月22日、1次ラウンド3回戦でJ1セレッソ大阪と対戦する。場所は未定。ルヴァン杯は今大会からJ1からJ3の全60クラブが参加するトーナメント方式となり、5月の3回戦までの1次ラウンドを勝ち抜いた10クラブが8強を懸けたプレーオフに進む。

応援背に、歴史刻む勝ち星

 後半、決勝ゴールを決めた白井陽斗の目が潤んだ。勝利の立役者は「いろんな思いが交錯した。得点を決めるとスタンドを見渡すようにしているが、これだけの人が立ち上がって喜んでくれて、自然と込み上げるものがあった」と目を真っ赤にした。

 先制点は富所悠の鮮やかなダイレクトシュートだった。白井とのワンツーからDF陣を置き去りにし、突破口を開いた。

 通常のホーム戦よりも多い5406人で客席は埋め尽くされた。ガンバ大阪はアウェー席をサポーターで埋め尽くす熱狂と応援ぶりだった。

 白井はガンバ大阪ユース時代から含めると14年チームに在籍したが、トップチームでは出場機会が少なかった。「けがでつらい時期もあった。ガンバ時代を一瞬思い出した」。チームの強さを身をもって知るが故に「ガンバから点取ったんや」と目頭が熱くなった。

 昨季までの13年間在籍した古巣との対戦となった藤春廣輝も左サイドバックで運動量豊富に駆け回った。ガンバへ尊敬の念と敬意を表しつつ、「今までで一番うれしい試合になった」と勝利を喜んだ。

 チームにとって新たな歴史を刻む勝ち星。5月のセレッソ戦に向け「ガンバサポーターからは、セレッソだけには負けないでくれと言われた」と藤春、白井は口をそろえ、さらなるJ1打倒に闘志を燃やした。

 (大城三太)


DF陣貢献 勝利の鍵に

献身的な守備で勝利に貢献したFC琉球のCB鈴木順也(左)=24日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム(又吉康秀撮影)

 勝利の鍵はDF陣の影なる貢献だった。特にセンターバックの鈴木順也は冷静沈着なパス回しで、相手に付け入る隙を与えずにゲームを落ち着かせた。「公式戦でJ1チームと対戦できることに試合前からわくわくしていた」。格上相手に状況を楽しむ余裕があった。

 守備では高い空中戦で相手を蹴散らし、左の藤春廣輝、右の増谷幸祐と連係しながら幾度となく襲いかかる危機をはじき返した。「プレースピードの速いJ1だと疲れも早かった」と後半序盤に失点。「J3とはスピードやコースが違う」と苦笑いしつつ、「連続失点がなかったのは良かった」と歴史的勝利を下支えした。

 リーグ戦でも、安定した守備と虚を突くロングボールで得点につながるパスを供給するなど、視野の広さも持ち味だ。

 次はセレッソ大阪戦。「J1チームとやれるのはサッカー選手として幸せだ。連戦になるが、勝ちにいく」と笑顔を見せた。

 (大城三太)


▽1次ラウンド2回戦(タピスタ)

琉球(J3)
 2―1(1―0,1―1)
G大阪(J1)

▽得点者 【琉】 富所(1)白井(1)【G】 鈴木(1)
▽観客 5406人

力を出し切り意義ある勝利

 金鍾成監督(琉球)の話 沖縄のサッカー界にとって意義のある大きな勝利となった。真っ向勝負していこうと選手に話し、これまでの中で一番力を出し切ってくれた。守備は全体で足を動かしてくれた。5月のセレッソ大阪戦も期待して見てもらいたい。

雰囲気作られ常に追う展開

 ダニエル・ポヤトス監督(ガンバ大阪)の話 互いに得点チャンスが少ない中、決めきれるかどうかが勝負の分かれ目になった。ホームで雰囲気をつくられて、常に追いかける展開となった。結果を受け止めている。頭を切り替えて敗戦から立ち上がりたい。