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バスケ選手に多い「ジャンパー膝」 練習量多さ、高身長にリスクも 専門家「原因理解し適切治療を」


バスケ選手に多い「ジャンパー膝」 練習量多さ、高身長にリスクも 専門家「原因理解し適切治療を」 同仁病院整形外科の島川朋享医師
この記事を書いた人 Avatar photo 屋嘉部 長将

 バスケットボールBリーグ1部の2023―24シーズンで準優勝となった琉球ゴールデンキングス。今季はリーグ開幕前にジャック・クーリー、シーズン途中にヴィック・ローが「膝蓋腱炎(靭帯炎)」で故障者リスト入りし、チーム全員がそろい戦術を浸透させることができない時期もあった。膝蓋腱炎はジャンパー膝とも呼ばれ、ジャンプや着地動作の多いスポーツで発生しやすく、中学や高校で症状が現れることが多い。同仁病院整形外科の島川朋享医師は「障害が起こってしまった原因を理解し、一時しのぎではなく、適切な治療をしてほしい」と話した。

 膝蓋腱炎は第二次性徴が終わり、骨の成長が終わった16歳以降に起こりやすいとされる。膝蓋腱は膝の前にあり、膝蓋骨(お皿の骨)と脛骨(すねの骨)を結んでおり、膝を伸ばす時に働く。膝蓋腱を使いすぎることで、膝蓋腱炎となり痛みが生じる。バスケやバレーなどジャンプや着地動作の多い競技のほか、スクワット動作の多い重量挙げ、走ってから止まる動作を繰り返すテニス、サッカー、ラグビーなど多くの競技で起こる危険性がある。部活やスポーツなどをやっており、高身長や体重の重い人がリスクが高く、男性がなりやすい。

 島川医師は「多くの原因を調べる必要がある」と指摘する。障害が生じた選手の性別や骨格、身長や体重、筋肉量や柔軟性などの内的因子、練習量や負荷の度合い、ウオーミングアップの方法、練習している環境や用具など外的因子の両面から見ていくことで原因を見つける必要がある。

 痛みは運動後に表れることが多い。その状態を放置すると、運動中に痛みが出て競技のパフォーマンスが下がることもある。重症化すると日常生活にも影響が及ぶ。安静にすることやストレッチ、練習量の調整などで改善することもあるが、一番大事なのは発生原因を見つけ、選手自身がそれを理解し、それぞれに合った治療法で対応することという。

 新年度になると中学や高校に進学し、競技レベルが上がった環境で体に対して高負荷の練習となることもある。夏の県大会もあるため練習量も増える。膝蓋腱を使いすぎることで5~6月に症状が出る可能性が高いという。痛みに早く気づけば早期に治療を開始できて回復も早いが、症状が悪化すると回復に時間がかかる。島川医師は、痛みが出たら早期の病院受診を求め「選手は自分の体の状態に耳を傾けてほしい。指導者や保護者も選手の様子をちゃんと見て、選手の話を聞いて、早期治療につなげてほしい。結果的に選手寿命を延ばすことになることもある」と語った。

 (屋嘉部長将)