甲子園出場を懸けた第106回全国高校野球選手権沖縄大会第10日は20日、沖縄セルラースタジアム那覇で準決勝2試合を行う。午前10時開始の第1試合は創部3年目で春季大会初優勝を成し遂げたエナジックと、昨春初優勝で2年連続2度目の準決勝進出を決めたウェルネス沖縄が対戦する。午後0時半開始予定の第2試合は、昨秋覇者で3年連続31度目の4強入りの興南と、2年ぶり2度目のKBCが対戦する。夏の選手権県大会4強に県立高校が残らなかったのは初めてで、興南以外は甲子園未出場。21日の決勝進出を懸けて戦う4校の戦力や見どころを紹介する。
(名波一樹)
見どころ
昨秋優勝、今春準優勝と強さを発揮してきた興南と、4強で唯一ノーシードから勝ち上がったKBCがぶつかる。昨秋の3回戦は興南が9―0でKBCを破った。今大会のチーム打率は興南が2割8分1厘、KBCが3割7分2厘と、打撃力ではややKBCが上回っている。守備ではKBC投手陣の継投も光るが、チーム失点1の興南の守りも堅い。KBC打線が興南の好投手・田崎颯士を打ち崩せるかが、勝負の鍵を握りそうだ。互いに少ない好機をものにし、先制点から流れをつかんだチームが勝利に近づく。
興南 田崎 無失点で27奪三振
[攻撃]
犠打飛は平均3・33と4強の中でも高水準。堅実な野球で確実に1点を積み重ねて勝ち上がってきた。ただ、残塁は1試合平均9と今大会はやや打線がつながっていない印象だ。それでも準々決勝は2桁安打を放ち、底力を発揮した。1番・山川宗紘は1年ながら打率5割をマークしている。中軸の仲田陽は打率4割で、2試合で先制の適時打を放つなど勝負強さがある。これまで通りの手堅い野球に加え、好機で一打が出れば勝利が近づく。
[守備]
けがから帰ってきたエース左腕・田崎颯士がマウンドでひときわ存在感を放っている。今夏は最速147キロの速球と鋭く落ちるスライダーで三振の山を築き、4強最多の計27三振を奪った。エース欠場の春に躍動した金城勇希も、準々決勝で6回を投げて10奪三振無失点だった。失策はゼロではないが、ここ一番で見せる、野手陣の巧みな捕球も印象的だ。ここまでの失点はエナジックと同じく1。安定した堅守で失点を抑えている。
先制して突き放す
石川駿介主将 先制して守備から流れをつくる。前半、中盤、後半と3イニングごとに点を奪って相手を突き放していく。
3点以内に抑える
我喜屋優監督 出る、進める、返す。長打で大量得点ではなく、確実に1点を取る。守りは投手中心に3点以内に抑える。
KBC 高い得点力 内田10打点
[攻撃]
初戦で沖縄水産にコールド勝ちし、さらにシード・宜野座を破った具志川商を下すなど、今大会で随一の躍進を見せるダークホース的存在だ。平均得点10・75と高い得点力を誇っている。チーム打率は3割7分2厘、要所で盗塁や犠打飛も成功させている。四死球は平均3・5と選球眼も上々だ。上位打線の上原光貴や前川尚摩は打率5割超えで力強い。小技も得意な内田凱万は計10打点の活躍だ。堅守を打ち崩し、大量得点を狙いたい。
[守備]
厚い投手陣を中心に平均失策は1と無難な守りができている。主将の譜久山暖がけがで万全の状態ではない中、2年生の左腕・崎濱海翔が防御率0の力投を続けてきた。140キロ手前の伸びのある直球で押し、準々決勝では2死満塁のピンチも三振で切り抜けた。右腕の浜元龍馬も控えている。今大会での登板は少ないが上原昭千も頼れる投手だ。投手陣が力を最大限発揮し、野手陣の好守備で抑えればシード校を打ち破ることができる。
攻撃で流れつくる
譜久山暖主将 4試合全てで先制点を挙げることができている。攻撃では序盤から流れをつくり、投手陣を中心に守り切る。
投手中心に勝利へ
神山剛史監督 試合中盤での気持ちの持ち方が鍵になる。投手を中心に、選手の力を十分に発揮させ、確実に勝利をつかむ。