7回無死二、三塁、知花泰空の内野ゴロで三塁から生還するエナジックの與那覇颯真＝21日、沖縄セルラースタジアム那覇（小川昌宏撮影）
大城 三太 沖縄セルラースタジアム那覇で21日に行われた第106回全国高校野球選手権沖縄大会決勝は、興南が延長十回タイブレークの末に4―3でエナジックにサヨナラ勝ちを決め、2年ぶり15度目の優勝をつかみ取った。興南の夏の甲子園出場は14度目。興南は二回、島田潤正の適時打で1点を先制、続く三回にも2点を追加し3―0とした。七回にエナジックは與那覇颯真の中安打やイーマン琉海の盗塁などで好機をつくり、3点を返して同点に追いついた。同点のまま九回を終え、迎えた十回延長タイブレークの2死二、三塁。興南は代打の嘉数大毅が左中間へと適時打を放ち、3時間を超える熱戦に終止符を打った。
三回までに0―3とリードを許したエナジックは、機動力を絡めた攻撃で反撃し、七回一気に同点へ追いついた。最初の1点が遠く、どうしても風穴を空けたい頃合いだった。
先頭打者の與那覇颯真が出塁し、突破口を切り開いた。続いて代打の切り札として打席に立った金城琉生が左中間へはじき返し、與那覇は二塁を踏んで三塁まで駆けた。無死二、三塁。知花泰空の内野ゴロが内野手のエラー二つを誘い、一気に2得点し歓喜を呼び込んだ。
勢いは止まらない。2死一塁とされた後、走者のイーマンが2盗。砂川誠吾の左中間への適時打で同点に追い付き、スタンドの熱気はさらに増した。
その後に追加点はならなかったが、興南のエース・田崎颯士を追い込み、マウンドから引きずり下ろした。同点打を放った砂川（2年）は「状況によって臨機応変に攻め方を変えるのが、ノーサインの醍醐味（だいごみ）」と本領を発揮した七回の攻めに手応えを示した。試合後はうなだれつつ、「とにかく来年は甲子園にいく」と先輩たちの思いを継ぐ決意を示した。
（大城三太）
