第106回全国高校野球選手権沖縄大会は、興南とエナジックが熱戦を繰り広げ、スタンドの応援も白熱した。延長10回、代打で登場した興南の嘉数大毅(たいき)選手が勝利の決定打となる安打を打ち、サヨナラ勝ちを決めた瞬間、三塁側の興南スタンドは歓喜に沸き、応援団は抱き合って喜んだ。
嘉数選手の母・富己(ふき)さん(54)は「最近は試合に出られていなかったが、最後で感動させてもらってうれしい。甲子園でも頑張ってほしい」と笑顔だった。
ピッチャーの田崎颯士(りゅうと)選手は7回で同点に追いつかれ、交代したが延長戦で再びマウンドに上がった。父・盛斎(もりとし)さん(43)は「ここはおまえしかいないだろう。最後は任せた」とエールを送った。試合後、「半分現実で半分夢のよう、まだ実感がない」と話し、喜びをにじませていた。
大きなメガホンを持ち、応援団を引っ張った団長の川満煌心(こうしん)さん(17)は「ほっとした。最初から全力で誰一人諦める選手がいなかったのでかっこよかった。県優勝で慢心せずに、甲子園でも勝利をつかめるように頑張ってほしい」と力を込めた。
エナジック側のスタンドは、涙を拭く部員の姿があった。
野球部は創部3年目。1期生として駆け抜けてきた応援団長の清水結斗さん(18)は「悔しい。結果は負けてしまったが気持ちは負けていなかった。決勝まで連れてきてくれてありがとう」と話した。(中村優希)