「駆け上がれ夢の舞台へ 燃え上がれ若人の魂」をスローガンに掲げた、全国高校総合体育大会「ありがとうを強さに変えて 北部九州総体2024」は20日に競泳競技などが終了し、7月21日から行われた高校生スポーツの祭典が幕を閉じた。今大会は福岡県、佐賀県、長崎県、大分県の北部九州を主会場に北海道、福島県、和歌山県で行われた。県内からは26競技29種目に420人が出場。全国のライバルと競い合った約1カ月間の熱戦を振り返る。
■大けが乗り越えV
今大会で唯一の県勢の優勝となったのが重量挙げ男子55キロ級の天久星七(本部)だ。中学時代に全国中学生選手権大会3年連続優勝、日本中学記録を何度も塗り替えた天久だが、5月末に右足首の大けがをしていた。ギプスが外れたのは大会の3週間前だったが、スナッチ103キロ、ジャーク114キロ、トータル217キロの全てで頂点に立つ完全優勝を果たした。同階級で唯一の1年生が強さを見せ、高校生での3年連続の優勝への第一歩を踏み出した。競泳では女子50メートル自由形決勝で平良吏美華(那覇西1年)が2位となった。重量挙げで男子67キロ級の比嘉功(本部)がミスもあり、本人は悔しさもあるが5位に入るなど1年生の活躍が光った。
■飛び込み初表彰台
今大会で沖縄の新たな歴史を刻んだ競技もあった。競泳女子50メートル自由形で2位の平良は、県内の学校から出場した選手としての最高位を更新した。県内唯一の飛び込み選手である津覇すみれ(首里3年)が女子飛び板飛び込みで3位となり、県勢で初めての表彰台に上った。自転車では男子チームスプリントで北中城(小田桐侃汰、仲眞良河、久貝一心)が1分17秒137の県高校新記録で、同種目では県勢初の全国総体6位入賞を果たした。久貝はケイリンで同種目県勢最高位の2位となった。
■惜しくも連覇逃す
なぎなたで県勢史上初の団体試合3連覇を懸けて挑んだ首里だったが、最終的に優勝した牛津(佐賀)に準決勝で敗れ3位だった。テニスでは女子ダブルスの水口由貴・井手葵が沖縄尚学として2連覇を狙ったが、あと一歩及ばず2位だった。連覇こそ逃したものの、ライバルチームから研究され、周囲の期待を受けてプレッシャーがある中で全国上位に入り、力があることを示した。
■舞台は中国総体へ
重量挙げ男子102キロ級で石川太陽(嘉手納3年)が2位、女子49キロ級で大村朱音(沖縄工3年)が4位に入った。なぎなた演技で大木みらい・鳥谷梨月(知念)の2年生ペアが3位、陸上では赤嶺勝永(那覇西3年)が男子やり投げで4位と結果を残した。男子カナディアンフォア500メートルでは沖縄水産(當山魁来・塩澤海・金城夢叶・松本大輝)が5位、ハンドボールの女子浦添とソフトボールの男子読谷がベスト8に入るなど団体でも全国上位に入った。
3年生は喜びや悔しさなど、さまざまな感情を抱いて最後の総体を終えた。全国の舞台で得た経験を力に変えて、新たなステージで躍進することを期待したい。1、2年生は今大会で得た収穫と見えてきた課題を胸に、再び全国の舞台を目指してほしい。2025年の全国総体は中国地方で行われる。大舞台で輝きを放つ選手たちから今後も目が離せない。
(北部九州総体取材班=渡真利優人、ジャン松元、大城直也、高辻浩之、稲福政俊、屋嘉部長将)