パリ・パラリンピック最終日の8日は、陸上マラソンの視覚障害T12で前回優勝の女子の道下美里(三井住友海上)が銅メダルを獲得した。4番目にゴールしたが、3着のスペイン選手が失格になり、繰り上がった。男子の堀越信司(NTT西日本)は7位、和田伸也(長瀬産業)は9位。車いすT54では男子の鈴木朋樹(トヨタ自動車)が銅メダル。女子の土田和歌子(ウィルレイズ)は6位だった。うるま市出身の喜納翼(34)(コザ高―沖縄国際大出、琉球スポーツサポート)は2時間4分53秒で12位だった。
喜納、最後まで力走
東京パラリンピックの7位超えを目指した喜納翼だったがスタートでスピードに乗れず、出遅れた。それでも一つずつ順位を上げて12位。レース直後のインタビューでは「たくさんの人にすごい応援していただいて、最後まで全力で楽しみきることができた」と涙を浮かべながら、感謝した。
コンディションは良かったが、スタートでつまずいた。スピードに乗れず、「あそこで遅れるのは想定外だった」。集団から離され、5キロ地点で16位と最下位。それでも「落ちてくる人がいる」と定めた目標タイムを意識し、1人また1人とかわしていった。
アップダウンや急カーブ、転倒やクラッシュにもつながる石畳もある難しいコースに「前もって情報は入れていたがきつかった」と心身ともにスタミナが削られた。シャンゼリゼ通り前から続く約5キロの石畳では「終わらないかも」と苦しんだが、必死にこぎ続けた。
スタートで出遅れたものの「歓声がすごく、応援のおかげで気持ちが切れなかった」と順位を上げ、12位でゴールした。
東京大会からの3年間を「あっという間だった」と振り返る喜納。「悔しさよりも応援してくれた人への申し訳なさがある」と唇をかんだ。「今は落ち着いて、次の目標を設定していきたい」と今シーズンの残りの試合へ気持ちを向けた。
(屋嘉部長将)