パ・リーグは23日、ソフトバンクが4年ぶりの優勝を達成した。京セラドーム大阪でオリックスと戦っている間に、2位日本ハムが西武に敗れたために優勝決定。南海、ダイエー時代と合わせて20度目、1リーグ時代を含めると22度目の制覇となった。
就任1年目の小久保監督が率いた今季はフリーエージェントで加入した山川が32本塁打を放ち、打率3割超の近藤らと強力打線を誇った。13勝の有原を中心とした先発陣も支えた。4月4日から首位を譲らず、6月に独走態勢を築いた。
日本シリーズ進出を争うクライマックスシリーズには10月16日開始のファイナルステージ(6試合制)から出場する。
小久保監督 1年目でV奪還 隙なく勝負強さ植え付け
一人一人の選手と力強く抱き合った。ソフトバンクの小久保監督は就任1年目で覇権を握られた王者オリックスの本拠地で頂点を奪還し「われわれは3連覇したチームに向かってやるシーズンだった。キャンプからこの日のために全員でやってきた」とすがすがしい表情だった。
いくら首位を独走しようが「隙を見せるな」と引き締めてきた。この日も終盤まで得点を重ねての快勝。6月の交流戦では勝利したものの、監督は「あり得ないプレーがあった」と怒りに満ちて一方的に取材を打ち切ったことがある。
指摘したのは選手会長の周東が投ゴロの際、送球を受けた相手の一塁手が落球したのを見逃し、フェアゾーンからベンチに戻ろうとしてアウトになったミス。翌日の練習前、ナインを集めて周東を名指しで「俺は許さん」と「公開説教」した。一塁を駆け抜けた時はファウルゾーンから帰ることをチームのルールに追加。映像を編集し、注釈まで付けて1~4軍に共有する徹底ぶりだった。
2022年は優勝へのマジックナンバーを「1」としてから2連敗してリーグ最終戦で頂点をさらわれた。かつての常勝軍団を知る今宮は「一つのプレーを怠ると最後に痛い目に遭う。小久保監督になって選手の意識が変化した」と証言する。「ミスターホークス」が勝負強さを見事に植え付けた。
山川、歓喜の中心に 4番、新天地で結果残す
全て覚悟の上だった。ソフトバンクの山川は昨季に女性関係の不祥事で大批判を浴びながらも、西武から国内フリーエージェント権を行使して新天地を選んだ。「今まで積み上げてきたものはゼロになる。マイナスから」と再出発。不在だった右の4番打者として本塁打と打点で両リーグトップを誇り、この日は鋭い長短打の2安打を放ち、「できることを精いっぱいやった」とかみしめた。プレー以外でも絶大な影響をもたらした。
騒動後は母親、妻との3人で家族会議を開いた。一度は現役引退も真剣に議論したが、妻からは「任せる」との一言。「もう少し頑張ってみよう」と腹を決めた。移籍が決まった際は西武の関係者、一人一人に電話して感謝の思いを伝えた。獲得した球団に批判が殺到するも近しい人には「結果で示す」と断言した。
遠征の移動日は本拠地に寄って、練習してから飛行機に乗る。熊本でのナイター試合後にバスで福岡に戻った際は午前0時過ぎから打ち込んだことも。次第に同行を願い出る若手が出た。
終盤戦だった9月4日の2位日本ハムとの直接対決では、3点リードの九回に抑えが故障で緊急降板し、6失点で悪夢の逆転負けを喫した。いくら打てなくても取材に応じてきた山川はゆっくり堂々と帰路に就き「大丈夫でしかないでしょ。(次の試合の)明後日には明後日の風が吹く」とびくともしなかった。
古巣で2年連続のリーグ優勝を果たし、3度の本塁打王に輝いた絶対的な経験値がある。小久保監督が報道陣に対し、優勝へのマジックナンバーを「禁句」と戒める中「意識しない考えもあるけど、僕はわくわくする。2位の結果をちらちら見ながらよしよし、とやるのが終盤戦の醍醐味(だいごみ)」ときっぱり。歓喜の中心には太い軸がいた。
オリックス―ソフトバンク23回戦(ソフトバンク16勝6敗1分、18時、京セラドーム大阪、35563人)
ソフトバンク
100 330 020|9
200 002 000|4
オリックス
▽勝 石川15試合7勝2敗
▽敗 才木15試合2敗
▽本塁打 来田2号(2)(石川)
▽三塁打 周東
▽二塁打 西川、柳町、川村、山川、甲斐
▽犠打 今宮、中村晃、渡部
▽盗塁 西川(10)
▽失策 来田
▽投手失策 佐藤
▽与死球 石川(内藤)佐藤(山川)川瀬(川村)
▽試合時間 3時間19分
【評】ソフトバンクが4連勝し、4年ぶりのリーグ優勝を果たした。1―2の四回に周東の2点三塁打などで3点を奪い逆転。五回の柳町の2点二塁打などで着実に加点した。石川は5回2/3を4失点で7勝目。
(共同通信)