エナジック―ウェルネス 1回無死一、三塁、先制のスクイズを決めるエナジックの砂川誠吾＝5日、沖縄市のコザしんきんスタジアム（喜瀬守昭撮影）
琉球新報社 エナジックと沖縄尚学が来春の選抜大会へ続く九州切符をつかんだ。沖縄市のコザしんきんスタジアムで5日に行われた第74回県高校野球秋季大会準決勝は、エナジックがウェルネス沖縄に4―1で、沖縄尚学は宮古に3―1でそれぞれ勝利し、決勝に駒を進めた。両校は来春の選抜大会の参考資料となる第155回九州地区大会（10月26日～11月1日、大分県）の出場権を得た。エナジックは初の決勝進出で、2季連続2度目の九州大会出場。沖縄尚学は3年連続18度目の決勝進出で、2季ぶり29度目の九州大会出場となった。エナジックは初回に1点を先制すると、五回に1点、六回に2点とリードを広げた。最終九回に1点を返されたが、そのまま逃げ切った。沖縄尚学は初回に1点を先制し、二回に2点を追加。八回に1点を許したが、逆転は許さなかった。決勝は6日午後1時から同球場で行う。
あっという間の先制点から流れに乗った。エナジックは持ち前の機動力と鍛えてきた打撃力で、春の選抜大会へ続く秋の九州切符を、初めてつかみ取った。要所で得点に絡んだ砂川誠吾主将は「鍛えてきた打力で勝つことができた」と胸を張った。
初回無死一、三塁。好機での立ち回りは何度もチームで練習を重ねてきた。3番で立った砂川は「まずは先制。確率の高いセーフティースクイズだ」と判断した。2球目の真っすぐを確実に転がし、危なげなく三走を生還させた。日頃の実戦練習を生かし貴重な先制点をもぎとった。
2―0で迎えた六回は、一挙2得点を挙げる起点となった。先頭の砂川が変化球を中方向へはじき返して出塁。次打者の安打で三塁まで進んだ。無死二、三塁で適時打が飛び出し4―0に。リードを広げ優位に立ち続けた。
夏はあと一歩で甲子園出場を逃したエナジック。引退した1期生の思いを背負い、鍛錬を積んできた。神谷嘉宗監督は「先輩たちから（ノーサイン野球を）吸収し、自分たちでチームをつくれている」とうなずく。それでも砂川は「個々の判断に迷いがある。先輩たちに比べるとまだまだだ」と語り、さらなる高みを目指す。
（名波一樹）
久髙 緩急巧み9奪三振
エナジックのエース左腕・久髙颯が強打線を切って取った。8回を投げ、被安打3で9奪三振無失点。緩急を使って打者を惑わせ「（三振を）狙ってはいなかったが、多く取れてよかった」と涼しげだった。
失点の危機も強気だった。1―0の四回、相手4番の安打などで1死二塁。「冷静にいく」と初球でチェンジアップを放った。2球目は直球で内角を攻め、最後は再び変化球で空振りに。ただ、次打者を死球として2死一、二塁に。それでも後続もチェンジアップで凡打に打ち取り、三塁は踏ませなかった。
久髙は「九州は決まった。1位で出場できるよう、投手みんなでつないで勝つ」と語気を強めた。
（名波一樹）
ウェルネス 九回に1点奪い意地見せる
ウェルネスは攻撃が思うように点数に結びつかなかった。変化球と直球を使い分ける相手投手に翻弄（ほんろう）され、八回まで三塁を踏めなかった。
初回に先制点を奪われ、4番のワォーターズ真佳が「絶対に取り返す」と決意した。二回に右前打を放ち二盗を決め、四回は中安打に敵失が絡み二塁まで進んだ。それでも後続が倒れて得点できなかった。最終回に右前打で進塁すると、犠飛で1点を返して意地を見せた。
五十嵐康朗監督は「全てゼロからのやり直しだ」と渋い表情を見せた。ワォーターズは「まずは攻撃で進塁を生かせるようにする」と改善を期した。
（渡真利優人）
エナジック
100012000｜4
000000001｜1
ウェルネス
（エ）久髙、瀬良垣―山城
（ウ）宮城、沖西―宮良、奥山
▽三塁打 イーマン（エ）
▽二塁打 久髙（エ）
