国民スポーツ大会「SAGA2024」第5日は9日、佐賀県各地で競技が行われた。重量挙げ女子59キロ級の比嘉成(名桜大1年)はスナッチ88キロ、ジャーク108キロ、トータル196キロでいずれも1位に輝いた。ジャークは3人が108キロを成功させたが、他の選手よりも先に2本目で成功させた比嘉が優勝となった。同49キロ級の伊良皆理絵(沖縄県協会)はスナッチ66キロで8位、ジャーク89キロで4位、トータル5位だった。自転車男子Bケイリンの久貝一心(しん)(北中城2年)は4位に入った。
初のジャークV 新たな栄冠
重量挙げ女子59キロ級は比嘉成(名桜大1年)がスナッチ、ジャークの2種目を制覇した。これまで数々の大会を制してきたが、国スポ(国体含む)のジャーク優勝は3度目の出場で初めて。新たな栄冠を手にし「去年、一昨年と悔しい思いをしていたので良かった」と笑みをこぼした。
ジャークは3人が108キロで並ぶ混戦だったが、同重量を最初に成功させた比嘉が勝利を手にした。1本目で105キロを成功した際にバーをのどで受けて気を失いかけ、110キロに挑戦した3本目も同様の状態に陥り、ふらついて試技を中断。アクシデントが続く中での優勝だった。
得意のスナッチは1本目で88キロを挙げ、早々と優勝を決めた。2本目に92キロ、3本目は自己新の96キロに挑んだが、いずれもバーが頭上で後ろに流れて落とした。「引き始めで我慢できなかった」と原因を分析し「改善点が見つかったので、後は体に染み込ませていきたい」と、手応えも得た失敗だった。
2種目制覇で団体戦の得点も加算され、団体優勝も見える位置に付けた。「団体は緊張もあるが、みんなのサポートや応援が力になる」と、国スポ独特の雰囲気を楽しんでいる。
(稲福政俊)
伊良皆、ジャーク4位 けが、体調不良を越え涙
重量挙げ女子49キロ級の伊良皆理絵(県ウエイトリフティング協会)は自信を持って臨んだジャークで4位に入った。3本目で89キロに成功すると、手をたたき、飛び上がって喜んだ。
多くの選手は、胸の前に担いだバーを頭上に差し上げる動作の時に、足を前後に開くスプリットジャークだが、伊良皆は足をそろえたままのプッシュジャークで試技を行う。大学3年の時に「(スプリットだと)前に突っ込んでしまう」と今のスタイルに変更した。
この日も安定したプッシュジャークで1本目85キロ、2本目87キロと着実に記録を伸ばし、3本全てを成功させた。不安があったというスナッチは2本失敗したが、66キロを挙げて8位入賞に滑り込んだ。
8月の九州ブロック大会の後、体調を崩していた。一時は体重が46キロまで落ちた上、膝や腰のけがも重なり、練習で扱う重量も落ちていた。「これからどうやって戻していけばいのか」と焦りと不安を抱えた9月を乗り越え、ジャークもスナッチも入賞。試合後は目に涙をためながら「沖縄のために1点でも多くと思っていたから良かった」と語った。
(稲福政俊)
(佐賀県有田町歴史と文化の森公園炎の博記念堂)
▽女子49キロ級スナッチ (8)伊良皆理絵(沖縄県協会) 66キロ
▽同49キロ級ジャーク (4)伊良皆理絵(沖縄県協会) 89キロ
▽同49キロ級トータル (5)伊良皆理絵(沖縄県協会) 155キロ
▽同59キロ級スナッチ (1)比嘉成(名桜大) 88キロ
▽同59キロ級ジャーク (1)比嘉成(名桜大) 108キロ
▽同59キロ級トータル (1)比嘉成(名桜大) 196キロ