サッカーの第103回全国高校選手権県大会決勝は9日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで行われ、那覇西が4―1で宜野湾を下して4年ぶり18度目の頂点をつかんだ。前半は玉寄一星が2得点し、チメズ・ビクター・チュクンマが追加点を決めて3―0で折り返した。後半は屋比久愛都が4点目を決めて突き放した。宜野湾は終了間際に比嘉憲聖が得点し、那覇西は今大会初の失点となった。那覇西は全国選手権(12月28日~2025年1月13日、東京・国立競技場ほか)に県代表として出場する。
決勝の舞台で那覇西のFW玉寄一星が光り輝いた。前半16分までに2得点。右の角度のない位置から先制し、GKとの1対1をものにして2点目を挙げた。いずれもMF屋比久愛都からのアシストだった。大里中出身の玉寄は中1の頃はFC琉球に所属し、屋比久とプレーし、旧知の仲のホットラインが勝利への鍵となった。
玉寄は「これまでアシストが多く、得点は1点のみ。決めたくてうずうずしていた」とはつらつとした表情。「得点しないと、新聞もテレビも取り上げてくれないよ」と朝から親にハッパをかけられたと苦笑いし、「親に感謝の気持ちを示すことができた」とうなずいた。屋比久は「一星は足が速く、自分の持ち味のスルーパスも生きた。相手主力選手も抑えることができた」と攻守で大事な役割を果たした。
2年連続決勝PK負けの重圧をはねのけての4年ぶりの栄冠。昨年から指揮を執る運天直樹監督は試合後、那覇西の土台を築き上げてきた前任の平安山良太監督(現北谷高監督)と熱く抱き合った。「ほっとした」と多くは語らず、視線を通して、こみ上げる思いを共有し合った。運天監督にとって初の全国選手権の舞台。「個の力や1対1など攻撃は通用すると思っている。守備の部分で課題に取り組んでいきたい」と全国に挑む。
(大城三太)