＜金口木舌＞物価、異常なのはどっちだ？

　成田空港のコンビニでおにぎりを買って、品質と安さに感動したという。長期の米国出張を終えて帰国した友人の話に「大げさな」と笑っていたが、その気持ちが今なら分かる

▼知事の国連訪問取材で、スイス・ジュネーブに出張した。充実した公共交通や美しい自然と街並みは素晴らしかったが、物価の高さには閉口した
▼学食のような趣の国連カフェで、味、量ともにそこそこの日替わりメニューが日本円で約3千円。街角の商店でペットボトルの飲み物が約400円。支払いのたびに渋面に。週末になれば地元住民は比較的安いフランスへとまとめ買いに行くそうだ
▼聞くところでは最低賃金は3500円を超えるという。収入が3倍強なら、物価も感覚として3分の1程度になる。なるほど、財布の「敵」はなかなか上がらぬ日本の賃金と円安だったか
▼賃金が上がらないのは、安さを追い求める消費者のマインドにも原因があるといわれる。ひょっとしてこれは異常なのか。安価で美味なコンビニのおにぎりをほおばりながら考え込んでしまった。