<金口木舌>星空保護区を目指して


<金口木舌>星空保護区を目指して
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 夜空に浮かぶ満天の星が「消える」。不思議な感覚を体験した。国頭村で開かれた星空観望会での出来事。真っ暗だった会場の陸上競技場でライトが一斉にともると、星は一瞬で見えなくなった

▼実は観望会を開いた「くんじゃん星の会」による演出。光によって天体観測ができなくなることを参加者らは体感した。会のメンバーは「光のない環境でなければ星は見えないし、やんばるの生き物もすめない」と語る
▼過剰な人工の光による公害のことを「光害」と呼ぶ。夜空が明るいと、生態系への悪影響などさまざまな障害を及ぼす。近年、地球上で広がる新たな環境問題とも言われている
▼国頭村は星空や天体を楽しむ「アストロツーリズム」を推進し、星空保護区への認定を目指す。観望会も理解醸成の一環で開かれたものだ
▼88ある星座のうち、沖縄本島では82の星座が見える。偏西風のジェット気流が吹かず、大気の揺らぎがないため、星の観測には絶好の場所だという。秋の夜長、光を少し落として、空を見上げてみるのはいかがだろうか。