インクルーシブ教育の勉強会に行くたびに、障害のある人や特別支援学校の関係者がたくさんいることにびっくりします。なぜならインクルーシブ教育は障害のある人のためだけにあるのではなく、すべての子どもが対象なのに、地域の学校の関係者があまりにも少ないからです。
セクシュアルマイノリティーは約1割いると言われています。不登校を選ぶ子どもは毎年増え続け、小学校で約1%、中学校で約5%です。シングルペアレントや第一言語が日本語ではない子、経済的に厳しい家庭の子や、宗教を持っている子など、すべての子どものためのインクルーシブ教育です。
いろいろな人が生きているのは当たり前ですが、学校ではマジョリティーに合わせたことが優先されがちです。トイレや更衣室も男子と女子の二つだけに分けたところが多く、セクシュアルマイノリティーの子どもは使いづらくなることがあるので、個人で入れる場所も必要です。歩ける人の割合が多いので学校には階段しかないことがあり、車いすを使う子どもは遅れを感じてしまうので、バリアフリーは不可欠です。
読み書きが苦手だったり、独特な学び方をしたりする子は、紙のテストの点数を基準に成績がつけられると評価が低くなります。タブレット教科書や口頭でのテスト、全体と比べてではなく、その子自身の成長を評価できるといいでしょう。
両親がいる家庭だけが題材になると、シングルペアレントの子どもは自分を例外だと感じ、孤独感が増すことにつながるので、物語の構成にも配慮が必要です。子ども一人ひとりに合わせて、環境を整え、みんなが一緒に学んでいくのがインクルーシブ教育です。
ノルウェーやイタリアでは、基本的には特別支援学校がなく、世界的にインクルーシブ教育が求められています。しかし日本では特別支援学校や特別支援学級が増え、逆行しています。サポートが必要なら、分けた環境ですごさなければいけないと思っている人が多いのでしょう。分けるのではなく、一緒の場所で、いろいろな方法で学んでいくことができるのです。
違いを認めあい、誰でもいつでもサポートを受けられる学校は、多くの子どもが安心できる場所になります。また完璧を目指すのではなく、ベターを目指し、試行錯誤を重ねることがインクルーシブ教育です。教員数を増やし、すべての子どもが安心できる環境を整えていきたいですね。
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いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。