那覇市松尾にある「わが街の小劇場」が10月末で幕を下ろした。2011年に開場して以降、小規模の劇団やユニットが主に活用し、沖縄の演劇シーンを盛り上げてきた。劇場主の鳥井由美子は「松尾2丁目での『わが街の小劇場』は一旦終了するが、何らかの形で続けたい」と次の展開を模索している。
「わが街の小劇場」は、俳優・演出家の福永武史が2011年に始めた。21年に演劇の制作などを務める鳥井が運営を引き継いだ。演劇などの公演や稽古場としての利用を続けてきたが、立地環境や建物の老朽化など施設管理や維持に課題があり、閉場を決めたという。
劇場は20席程度の小さなスペース。ピーク時は週3~4回のペースで公演があった。人気の舞台「日付変更線」などでは、立ち見で70人が入ることも。
こけら落とし公演の頃から俳優として劇場の舞台に立った山内千草は「小規模で活動している人には借りやすい。小規模の劇団やユニットがたくさんできて、沖縄の演劇シーンを盛り上げる一端を担っていた」と評価した。
高校生の頃、演劇を見に通ったという俳優の新垣七奈は「演劇を見るだけでなく、ここに来れば公演情報も知ることができた。高校生で借りて演劇をしたこともある。なくなることは寂しいが、新しいステップも楽しみ」と新たな展開に期待を寄せた。
(田吹遥子)