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冷遇際立つ 政府与党による玉城デニー知事への対応 県市長会の要請不参加に識者「政治的な意図も」


冷遇際立つ 政府与党による玉城デニー知事への対応 県市長会の要請不参加に識者「政治的な意図も」 資料写真
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 玉城デニー知事が、2024年度の沖縄関係予算確保に向け、国庫要請した。要請には県町村会の宮里哲会長(座間味村長)が帯同したが、21年8月から続く、県市長会(会長・桑江朝千夫沖縄市長)との3者連名での要請は実現しなかった。知事は「それぞれの対応」と平静を保つ。だが、政府与党の対応には知事の冷遇ぶりが際立っている。

 「一緒に連名でできなかったのは残念だ」。玉城知事はこう漏らした。県市長会の離反の背景には辺野古新基地建設問題が代執行訴訟へと発展したことがある。玉城知事は「対立というが、予算は昨年よりも(内閣府が)増額要求している」とし、「沖縄県の要望も一定の理解を頂いている」と強調した。

 ただ、今回の要請で政府与党側が対応したのは自見英子沖縄担当相のみ。昨年の同時期に県市長会、県町村会の3者で行った要請では、沖縄担当相だけでなく、自民党税制調査会の宮沢洋一会長らとも面会した。

 宮里会長は県市長会の離脱について「コメントする立場にない」としたが、自見氏への要請の場面では自ら県市長会の不在について言及し「気持ちは一緒だ」と強調。取材には「市長会の思いも理解できる」と打ち明けた。

 今回、県市長会の単独要請の方針を主導したのは、いずれも政権与党の自民・公明から支援を受ける保守系首長だ。

 沖縄国際大の宮城和宏教授(経済学)は「市長会の行動は政治的な意図があるようにみえる」とも指摘する。沖縄関係予算の要請活動に政治的対立が影響を及ぼす現状に「政府に従順な自治体だけに予算が流れる仕組みがつくられかねない」とくぎを刺した。

(安里洋輔、梅田正覚)