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松野長官側に1000万円超 高木、世耕氏側にも還流か パーティー券問題、収支報告記載せず


松野長官側に1000万円超 高木、世耕氏側にも還流か パーティー券問題、収支報告記載せず 記者会見する松野官房長官=8日午後、首相官邸
この記事を書いた人 Avatar photo 共同通信

 自民党派閥の政治資金パーティー券問題で、安倍派(清和政策研究会)の松野博一官房長官側が、直近5年間で派閥から販売ノルマを超えた売り上げ計1千万円超の還流を受けたとみられることが8日、関係者への取材で分かった。高木毅国対委員長側、世耕弘成参院幹事長側にも1千万円超の還流があったとされ、いずれの政治資金収支報告書にも記載はなく、裏金になったという。東京地検特捜部は政治資金規正法違反(不記載など)の疑いで捜査。疑惑は政権中枢に広がった。

 3人は安倍派の有力者「5人組」のメンバー。清和会は、2021年11月に安倍晋三元首相が会長に就任し、安倍派に衣替えした。松野氏は前身の細田派で19年9月から21年10月まで、会長を補佐し、派内の実務を取り仕切る事務総長を務めた。西村康稔経済産業相と交代後の22年、派内で還流取りやめに向けた動きがあったが、実現しなかったことも新たに判明した。高木氏は22年8月から事務総長を務めている。

高木毅氏
世耕弘成氏

 松野氏は8日の記者会見で還流について「この場は政府の立場で参加しているので、お答えを差し控える」と語り、引き続き職責を果たしたいと述べた。岸田文雄首相は衆院予算委員会で松野氏の進退を問われ「政府のスポークスマンとしてしっかりと発信してもらう」と更迭を否定した。

 自民党の各派閥のパーティー券は1枚2万円が相場で、販売枚数にはノルマがあり、当選回数や閣僚経験などで多くなるとされる。ノルマ超えの分を還流する運用があり、安倍派では派閥側の支出、議員側の収入として、それぞれの収支報告書に記載していなかったという。18~22年に1億円超が裏金になり、少なくとも10人以上が還流を受け、複数は1千万円以上だったとみられる。

 安倍派では長年還流が続いてきたとされるが、問題視する声が上がり、22年春ごろのパーティー券販売開始後、事務方が「キックバックはしない」と議員側に伝えたという。突然の方針に混乱が生じたことや参院選もあり、22年5月のパーティー開催後に還流があったとされる。23年は早期に方針が示され、還流はなかった。特捜部はこうした経緯を調べるもようだ。

 松野氏は衆院千葉3区選出で現在8期目。文部科学相などを経て、21年10月から官房長官を務める。

(共同通信)