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中国が尖閣「闘争強化」 習主席指示 地元漁船の臨検も


中国が尖閣「闘争強化」 習主席指示 地元漁船の臨検も 尖閣諸島(資料写真)
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 中国の習近平国家主席が11月下旬、軍指揮下の海警局に対し、尖閣諸島について「1ミリたりとも領土は譲らない。釣魚島(尖閣の中国名)の主権を守る闘争を不断に強化しなければならない」と述べ、領有権主張の活動増強を指示したことが30日、分かった。これを受け海警局が、2024年は毎日必ず尖閣周辺に艦船を派遣し、必要時には日本の漁船に立ち入り検査する計画を策定したことも判明した。関係筋が明らかにした。

 岸田文雄首相が11月中旬の日中首脳会談で習氏に、尖閣を含む東シナ海情勢への「深刻な懸念」を直接伝えたばかり。中国側がこの指摘を顧みず、実際の行動によって領有権主張を強める方針であることが浮き彫りになった。

 中国が日本漁船の立ち入り検査計画を策定したことが明らかになるのは初めて。偶発的な衝突が起きる懸念がさらに高まりそうだ。

 軍最高指導機関、中央軍事委員会トップを兼ねる習氏は上海で11月29日、軍事委傘下にある海警局の東シナ海海区指揮部を視察した。視察後に海軍出身の郁忠・海警局長が同指揮部で会議を開き、24年の尖閣周辺での活動を議論。4隻の海警艦船で編隊を組み、尖閣周辺に毎日派遣することを決定。さらに与那国島と西表島の間の海域で海軍艦艇通過を活発化させる方針も決めた。

(北京共同=芹田晋一郎)

【用語】中国海警局

 中国の海上警備を担う組織。各省庁の海上取り締まり部門を統合して2013年に発足した。警察権限を持ち公安省の指導下で活動してきたが、18年の組織改革で軍最高機関、中央軍事委員会の指揮下の武装警察に編入された。海軍出身者がトップを務め「第2海軍」化が加速している。