沖縄防衛局は10日、名護市辺野古の新基地建設工事について有識者から助言を得る「環境監視等委員会」を那覇市内のホテルで開いた。同日の大浦湾における工事着手について防衛局側は、議事終了後に委員に説明したという。中村由行委員長(元横浜国立大大学院教授)は委員会終了後、記者団の取材に対し、大浦湾側の着手について「報告事項だったため、特段委員会で質問等はなかった」と説明した。委員会の開催時間は午前10時半から同11時15分頃までだった。
大浦湾側の工事を巡っては埋め立て区域内で生息する小型サンゴ類約8万4千群体などの移植が計画されている。県は移植を許可せず国との間で法廷闘争となっている。
一方、防衛局側は昨年10月の同委員会で、サンゴと重ならない一部護岸の工事に着手した場合の環境への影響をシミュレーションした結果を提示。いずれの季節も「サンゴ類の生息は維持される」と結論付けていた。
10日の委員会終了後、防衛局の担当者は、移植をしないままこの日の工事に着手したことについて「サンゴには影響を与えないというところを(10月の委員会で)確認し、本日の着工に至っている」と説明した。その上で、「埋め立て区域内に生息している移植対象のサンゴがいる。そこは(移植を)行う必要がある」との認識を示した。
また、防衛局側が海上ヤードについては県との事前協議の対象外としたことについて中村委員長は「議事をどう設定するかは事務局(防衛局)の判断で、議事に添って環境監視が適切に行われているかどうかを審議するのがこの委員会の役目だ。それを超えて何かこちらから提案することは基本的にない」と述べるにとどめた。
会合は冒頭を除いて非公開で行われた。
(知念征尚)