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辺野古・大浦湾工事の設計変更 軟弱地盤に、くい7万本 難工事に沈下の恐れも


辺野古・大浦湾工事の設計変更 軟弱地盤に、くい7万本 難工事に沈下の恐れも 米軍普天間飛行場の移設先、沖縄県名護市辺野古の沿岸部。手前の大浦湾側には軟弱地盤が見つかっている(資料写真、ドローンから)
この記事を書いた人 Avatar photo 沖田 有吾
 名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沖合で進められている、米軍普天間飛行場移設に伴う新基地建設。2024年は大浦湾側の本格的な埋め立て着工という新たな局面を迎えている。繰り返し示されてきた「埋め立て反対」という県民民意の無視、豊かな生物多様性を誇る大浦湾の環境の破壊、「軟弱地盤」の改良という難工事による期間の延長、費用の増大など、多くの問題が未解決のまま、強行されようとしている。
新基地建設現場の名護市辺野古の海域。写真右側の海域は軟弱地盤の存在が明らかになっている大浦湾=2023年8月19日撮影

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題で、大浦湾側の軟弱地盤改良工事の設計変更申請の代執行により、政府は大浦湾側の工事に着工できる環境を整えた。しかし、大浦湾の深くに存在する「軟弱地盤」によって、予定通りに工事が進むのか、今もなお不透明な状況だ。

 新基地建設が進められる大浦湾の海底には、構造物を支える強度のない軟弱な地盤が広がっていることが分かっている。古くは1960年代に作成された米海軍のマスタープラン(基本計画)でも存在が指摘され、当時の米軍の計画では滑走路2本を大浦湾沖合に延ばさず、辺野古沿岸部にとどめる内容だった。

 97年に政府が大浦湾で実施した調査では、建設予定地に近接した海底で軟弱な地盤が存在する可能性を示唆する結果が示された。さらに埋め立て承認前の2007年段階の報告書で、沖縄防衛局が、海底に軟弱な地層が存在し、基地の設計には追加のボーリング調査が必要と結論づけていたことが明らかになった。

 政府は今後、軟弱地盤に砂ぐい7万本以上を打ち込み、地盤を固くする工事を進める。最も深い「B27」地点では、軟弱地盤が水面下約90メートルに達するが、防衛省は70メートルの工事までで問題ないと説明。専門家からは、完成後も沈下する恐れがあると指摘されている。

 県は設計変更申請が出された際に、B27地点について、別の3地点の測定結果から強度を類推し、直接的に力学的試験をしていないことを問題視した。県関係者は「大規模な工事で、軟弱な地盤が存在すると分かっているのになぜ調査を尽くさないのか、理解しがたい。(政府にとって)不都合な結果が出てしまうと思っているのではないか」と話した。

辺野古新基地をめぐる年表
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