米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設計画で建設上の問題となっている大浦湾側の軟弱地盤について、米軍が沖縄の日本復帰前の1960年代に検討した辺野古における米海軍飛行場のマスタープラン(基本計画)でも軟弱地盤の存在が指摘されていたことが18日までに、分かった。96年のSACO合意に基づき現在の新基地建設計画が立案される30年以上前の調査で軟弱地盤が把握されていたことになり、新基地計画の欠陥が浮き彫りとなった。
防衛省が軟弱地盤の存在を正式に認めたのは2019年だ。
基本計画は、米大手設計会社が潜水やボーリング調査なども実施して1966年に海軍に提出し、軟弱地盤の存在が記載されていた。大浦湾を含む海域を指す「辺野古沖」の海底地盤について「風化が進んで柔らかい」「堆積物の上部1.5メートル以内は粘土質で、それ以下はシルト質である。緩い状態から中程度の密度にある」などと記述があった。
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当時の米軍の計画は3千メートル級の滑走路2本を軟弱地盤がある大浦湾沖合には延ばさず、辺野古沿岸部にとどめる内容だった。
計画はベトナム戦争による国防費の逼迫(ひっぱく)などを背景に最終的に実行されなかったものの、1967年には米軍制服組トップの統合参謀本部議長が承認するなど重要な文書だった。エンタープライズ級空母も使用できる係船機能がついた護岸整備も検討されるなど、現在の辺野古新基地建設計画の青写真になっていると言われる。
東京工業大の川名晋史教授が来年1月に刊行する「在日米軍基地-米軍と国連軍、『2つの顔』の80年史」(中公新書)で基本計画内に軟弱地盤が記載されていることを指摘している。
沖縄防衛局は軟弱地盤が確認されたことを踏まえ2020年に公有水面埋め立て法に基づく設計変更申請を県に提出。県は地盤の安定性を疑問視し不承認とした。現在、国は県の代わりに設計変更承認を行う代執行訴訟を提起しており、20日に福岡高裁那覇支部で判決が言い渡される。
(知念征尚、梅田正覚、明真南斗)