名護市辺野古の新基地建設に関連し、米軍が1966年にまとめた辺野古における米海軍飛行場のマスタープラン(基本計画)でも存在が指摘されていた大浦湾側の軟弱地盤は、日本政府は2019年に軟弱地盤の存在を正式に認めたが、実際にはその半世紀前に実施された調査で把握できたことになる。
軟弱地盤を巡ってはこれまでの報道で、07年段階の報告書で海底に軟弱な地層が存在し、基地の設計には追加のボーリング調査などが必要だと結論付けていた。1997年に大浦湾で政府が実施した調査でも、軟弱地盤である可能性を示唆する結果が示されていたことが分かっている。
今回判明した事実を踏まえると、日本政府は2013年に埋め立て申請を県に提出する前に、少なくとも3度、事実を把握する機会があったことになる。
日本政府は過去に何度も軟弱地盤を把握する機会があったにもかかわらず、必要な文献調査や物理試験を実施せずに建設ありきでまい進した。これは「あえてしなかった」ようにもみえる。
20日には大浦湾の埋め立てを巡る代執行訴訟の判決が言い渡される。判決の内容に関わらず、立ち止まってこれまでの経緯の整理が必要だ。
(知念征尚)