名護市辺野古の新基地建設に向けて政府は大浦湾に広がる軟弱地盤を締め固める工事を予定するが、軟弱地盤全体を対象にしている訳ではない。軟弱地盤は最も深い所で海水面から約90メートルの深さにまで達している。しかし政府が計画する改良工事は海面下70メートルまでだ。未改良の軟弱地盤があり、完成しても沈下や液状化の恐れが残る。
政府は70メートルより深い地点は改良しなくても問題ないと判断しているが、根拠は「推定」に基づく。軟弱地盤が最も深い90メートルまで及ぶとされる地点「B27」で実施した力学調査の結果を使わず、150~750メートル離れた別の3地点の数値から地盤の強さを割り出した。
当初、政府はB27地点で海底の強度を調べる力学調査をしていないと説明していた。後になって見つかった調査結果は水面下70メートルより深い地盤も軟弱であることを示していた。政府は「委託業者が自主的にした簡易的な調査」として、この結果を設計条件から反映させていない。軟弱地盤は水面下70メートルまでとしてきた政府は今年5月、国会で野党の追及を受けて同77メートルまでは軟弱地盤であることを認めた。「70メートル」にこだわってきた理由は明確にしていないが、国内にある地盤改良船が最深で工事できる同70メートルと一致する。