【東京】米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向け、斉藤鉄夫国土交通相が県の代わりに防衛省の設計変更を承認したことを受け、防衛省は来年1月12日にも大浦湾側の工事を始める構えだ。砂などで作ったくい約7万本を打ち込む地盤改良工事などを計画しており、政府の計画では普天間飛行場が返還されるとしても2030年代後半より後になる。
関係者によると、既に準備を進めており、来年1月からは海上ヤード設置に向けた作業を実施する。軟弱地盤が広がる区域では砂などで作ったくいを打ち込んで地盤を締め固めた後、護岸建設や土砂投入に進む計画だ。くいは大浦湾全体で約7万1千本を打ち込む予定だが、防衛省は設計変更の承認を得る前からすでに約2万2400本分を発注している。
軟弱地盤は最も深い地点で約90メートルに達するが、防衛省は70メートルまでしか改良しないと説明している。未改良地盤が残るため、基地完成後も地盤沈下の可能性がある。
政府は埋め立てなどに要する工期9年3カ月を含め、米軍に施設を提供し事業が完了するまでに必要な期間を12年と説明している。総事業費は約9300億円と説明しているが、大浦湾側に着手していない22年度末まででその半分に近い約4312億円が支出されており、さらに増大が予想される。(明真南斗)