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辺野古、国が代執行 大浦湾の工事着手が可能に 玉城知事「自治をないがしろ」と強権を批判


辺野古、国が代執行 大浦湾の工事着手が可能に 玉城知事「自治をないがしろ」と強権を批判 会見で記者の質問に答える玉城デニー知事=12月28日、沖縄県庁(喜瀨守昭撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【東京】米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、斉藤鉄夫国土交通相は28日午前、県に代わり防衛省が出した設計変更申請を承認した。国交省が発表した。大浦湾側の軟弱地盤の改良工事への着手が可能となる。地方自治法に基づいて国が県の処分を代執行するのは史上初。玉城デニー知事は「憲法で定められた地方自治の本旨をないがしろにするものであり、誠に遺憾だ」とするコメントを発表した。

 岸田文雄首相は同日夕、首相官邸で記者団に「法令にのっとり必要な対応をしたものであると認識をしている」と述べた。

 関係者によると、承認を受け、防衛省は来年1月12日にも、大浦湾側の工事に着手するとみられる。

 国交省によると、承認に向けた手続きは28日午前9時30分から同省内で行われた。斉藤氏が同日午前に大臣室で決裁。その後、斉藤氏が決裁した承認書を、国交省職員が同10時ごろ、同省内会議室で沖縄防衛局職員に交付したという。

 斉藤氏は交付後、「沖縄県知事に代わって沖縄防衛局からの埋立変更承認申請を承認した」とのコメントを発表した。

 省内の一連の手続きや交付の様子はいずれも非公開だった。史上初の代執行は、地方自治法245条の8の規定に基づき行われた。

 国は大浦湾の海底に軟弱地盤が広がっていることを踏まえて新基地建設の設計に地盤改良工事を追加するため県に変更承認を求めたが、知事は辺野古新基地では普天間の一日も早い危険性除去が実現できないことや新基地に反対する民意を背景に承認しなかった。代執行訴訟で福岡高裁那覇支部は20日、設計変更を承認するよう県に命じる判決を示したが玉城知事は承認しなかった。

(安里洋輔)