米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、斉藤鉄夫国土交通相は28日午前、沖縄防衛局が沖縄県に提出していた埋め立て工事の設計変更申請を、玉城デニー知事に代わって承認した。
新基地建設に反対する沖縄県との溝が深まる中、政府は地方自治法に基づき、国が自治体の事務を代執行する全国でも初のケースに踏み切った。代執行により防衛省は大浦湾側の工事が可能となり、年明け早い時期の工事着手を目指す構えだ。
普天間飛行場の辺野古移設問題が重大な局面を迎えることとなった一日の動きをまとめた。
午前10時ごろ 国土交通省が代執行手続きを開始
国土交通省が地方自治法に基づく代執行手続きを開始。沖縄県に代わって、防衛省が出した設計変更申請を承認した。
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午前11時ごろ 玉城デニー知事、代執行の実施に「沖縄だけの問題ではない」
報道各社の新春用インタビューに応じていた玉城デニー知事は、国が代執行を実施したことに対し見解を述べる。
>>>「沖縄だけの問題ではない」 玉城知事 代執行の問題点の検証求める
午前11時すぎ 移設先の名護市長が記者団の取材に応じる
普天間飛行場の移設先である名護市の渡具知市長が市役所で報道各社の取材に応じる
午前11時30分 宜野湾市の松川市長が「ほっとしている」
米軍普天間飛行場を抱える宜野湾市の松川正則市長が市役所で報道各社の取材に対応。松川市長は「返還合意から27年が過ぎている。長い歴史を考えるとほっとしている」と語る。
>>>松川宜野湾市長は「ほっとしている」 国との関係に懸念も表明
午前11時55分ごろ 木原防衛相「全面返還の節目だ」
国交省による代執行で設計変更が承認されたことを受け、木原稔防衛相が防衛省で臨時会見を開く。大浦湾側の工事の開始時期について明言は避けたものの、「辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づき着実に工事を進めていく」と強調。
午後1時30分 玉城デニー知事が県庁で臨時会見
玉城知事が県庁で臨時会見を開き、国交相の代執行に対するコメントを発表。「地方自治を否定する先例が生じてしまったことを深く危惧する」と批判し、「問題解決に向け、沖縄県との真摯な対応に応じていただくよう求める」と強調。
午後3時 オール沖縄会議が記者会見
辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議が事務局長談話を発表。「代執行ありきの司法判断と、地方自治を圧殺する代執行に正義はない」
夜 岸田首相、官邸で記者団に「普天間飛行場の固定化避ける」とコメント
岸田文雄首相は官邸で記者団の質問に答え、辺野古新基地建設に向けた代執行について「国交相が法令に則り必要な対応をした。普天間飛行場の固定化は避けなければならない。基地負担軽減のため全力で取り組む」と強調した。玉城デニー知事が政府に求める「対話」の可能性を問われると、「知事とは様々な機会を通じて対話の機会があった。これからも丁寧な対応を続けていきたい」と述べた。