【東京】米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、斉藤鉄夫国土交通相は28日午前、沖縄県の代わりに防衛省が出した設計変更申請を承認した。国交省が発表した。大浦湾側の軟弱地盤の改良工事への着手が可能となる。地方自治法に基づいて国が県の処分を代執行するのは初めて。
斉藤国交相は28日午前に同省内で承認する旨を記した承認書を作成し、国交省職員が同省を訪れた沖縄防衛局職員に直接交付した。承認の様子は非公開だった。承認を受け、防衛省は来年1月12日にも大浦湾側の工事に着手する構え。
国は大浦湾の海底に軟弱地盤が広がっていることを踏まえて新基地建設の設計に地盤改良工事を追加するため、県に変更承認を求めていたが、裁判に発展するなどして承認を得られていなかった。県の代わりに承認することを認めるよう代執行訴訟を提起。福岡高裁那覇支部は今月20日、設計変更を承認するよう県に命じる判決を示したが、玉城デニー知事は承認しなかった。斉藤国交相は26日、代執行を28日に行うと県に通知していた。
一方、県は27日、最高裁に上告した。上告後も代執行の効果は継続するため、防衛省は来年1月以降、裁判と並行して大浦湾側の工事を続ける見通し。最高裁判決で県が勝訴すれば、設計変更に基づく工事を止めなければならなくなる。
斉藤国交相は28日午前、「沖縄県知事に代わって沖縄防衛局からの埋立変更承認申請を承認した」とのコメントを発表した。