辺野古・大浦湾は、生物多様性が極めて高い海域として研究者や環境NGOなどに注目され、高く評価されてきた。
評価の背景には、サンゴ礁や海草藻場、深場の砂地や泥地、マングローブや干潟などの多様な環境が狭い地域にひとまとまりになっている特徴がある。
湾内には水深の深い湾とサンゴ礁が隣接し、巨大なアオサンゴ群集や、ユビエダハマサンゴ群集などが確認されているほか、海草藻場は絶滅危惧種のジュゴンやウミガメのえさ場となり、食跡なども確認されてきた。
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新基地建設を進める国も、辺野古・大浦湾の生物多様性の高さを認めている。2016年、環境省は辺野古・大浦湾を含む本島周辺の沿岸域全域を「重要度の高い海域」に選定したが、一方で当時の防衛省が環境影響評価(アセスメント)などを踏まえているとして工事の中止を求めることはなかった。
辺野古新基地建設の着工前に沖縄防衛局が実施した環境アセスの調査では、これらの海域から絶滅危惧種262種も含む5334種の生物が確認されている。県のまとめによると、この数は、世界自然遺産に登録されている知床(北海道)や屋久島(鹿児島)で確認されている生物数を上回るとされる。
環境アセス終了後にも、エビ・カニ類やスナギンチャク類の新種発見などが相次いだ。新基地建設で軟弱地盤の改良工事が行われる埋め立て予定海域に近い大浦湾の深さ約60メートルの海底谷では、20年に奄美大島と恩納村で発見された新種ウミエラも確認された。
19年には科学者らでつくる非政府組織(NGO)が世界的にも重要な海域を認定する「ホープスポット」(希望の海)に辺野古・大浦湾一帯が国内で初めて選ばれた。
(慶田城七瀬)