名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沖合で進められている、米軍普天間飛行場移設に伴う新基地建設。2024年は大浦湾側の本格的な埋め立て着工という新たな局面を迎えている。繰り返し示されてきた「埋め立て反対」という県民民意の無視、豊かな生物多様性を誇る大浦湾の環境の破壊、「軟弱地盤」の改良という難工事による期間の延長、費用の増大など、多くの問題が未解決のまま、強行されようとしている。
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2023年12月20日、福岡高裁那覇支部は大浦湾側の工事を巡る沖縄防衛局の設計変更申請承認についての代執行訴訟判決で、玉城デニー知事に承認を命じた。玉城知事が期限内に承認しなかったため、国交相は同28日、承認を代執行した。
沖縄県民は、辺野古埋め立てに反対の意思を示してきた。知事選においては、普天間飛行場代替施設の県外移設を公約とした10年の仲井真弘多氏以降、4回連続で辺野古埋め立てに反対する候補者が勝利している。19年の県民投票では投票総数の7割以上が埋め立て反対の意思を示し、代執行訴訟で玉城知事は「県民の民意こそが公益だ」と訴えた。民意の背景には、惨禍を極めた沖縄戦の記憶や過重な基地負担の集中が長期間にわたって存在していること、豊かな自然環境の破壊への抵抗感などが重なる。
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政府は「普天間飛行場の危険性除去は喫緊の課題」と必要性を強調する。しかし、辺野古は大浦湾側の工事に着手してから使用が始まるまで12年間を要するとされ「喫緊の課題」への解決策としての合理性には疑問が拭えない。
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事業費についても膨らんでいる。日本政府は軟弱地盤の存在を認めていなかった14年の段階で3500億円以上としていたが、19年には地盤改良を含めて約9300億円と修正した。実際の総工費はさらに膨らむとする指摘もある。
在沖米軍幹部は11月、メディアとのワークシップの際に「政治面を考慮せず軍事だけで考えれば(辺野古より)普天間の方が良い」などと発言した。一部では「仮に辺野古が完成しても、本当に普天間が返還されるのか」と危惧する声さえ上がっている。
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さまざまな課題や矛盾が解消されないまま、司法の「お墨付き」を得た工事が始まろうとしている。辺野古反対を大きな柱とする玉城デニー県政にとっても、どう対応するかが問われる一年となる。 (沖田有吾)
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