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新種ウミエラ、辺野古の大浦湾でも発見 研究者、調査・海域保全求める 沖縄


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大浦湾の海底谷で撮影された新種のウミエラ「カリベレムノン・ヒノエンマ」=2022年6月(馬渕一誠氏提供)

 2020年に奄美大島と本島西海岸の恩納村で発見された新種のウミエラ「カリベレムノン・ヒノエンマ」がこのほど、名護市辺野古の新基地建設で埋め立て予定海域に隣接する大浦湾の海底谷でも確認された。サンゴ礁をつくらず一個体に群体を持つ軟サンゴの仲間で、和名は「ユウレイフタゴウミサボテンモドキ」。20年の琉球大の調査で奄美大島と恩納村で発見され、22年に大浦湾で見つかったのが世界2例目、本島東海岸では初確認となる。

 22年6月に東京大名誉教授(細胞生物学)の馬渕一誠氏ら研究者でつくる大浦湾海底生物調査会が、水中ドローンを使って撮影した動画から画像を切り出して見定め、奄美と恩納村で発見された同じ種と確認された。

 確認された場所は、埋め立て予定海域から東南に位置し、水深の浅いリーフに挟まれた砂泥の海底谷で深さ55~60メートル地点で5群体が見つかった。海底谷の傾斜は最深69メートルに至るとされる。

 馬渕氏は「岸に近く、河川や埋め立てによる土砂が流入すれば海底谷の生き物も死滅に至るだろう」と話し、詳細な調査や海域の保全を求めた。

 調査結果をまとめた論文は5月19日付の学術雑誌「Fauna Ryukyuana」に掲載された。

 調査会の1人である元琉球大農学部准教授で理学博士(昆虫分類学)の屋富祖昌子氏が15日、県庁に照屋義実副知事を訪ね調査報告した。照屋副知事は「所管する環境部に調査結果を研究するよう指示したい」と述べた。
 (慶田城七瀬)