有料

【解説】中国の揺さぶり不発 有権者、蔡路線継続を支持 台湾総統に頼氏


【解説】中国の揺さぶり不発 有権者、蔡路線継続を支持 台湾総統に頼氏 台湾総統選の開票速報に盛り上がる民進党・頼清徳氏の支持者ら=13日、台北
この記事を書いた人 Avatar photo 共同通信

台湾総統選で与党、民主進歩党(民進党)の頼清徳副総統が勝利した。有権者は頼氏当選の阻止を狙った中国の揺さぶりに動じず、米国との連携を重視する蔡英文政権の路線継続を支持した。ただ中国が台湾への圧力を一層強めるのは確実で、難しい対応を迫られることになる。
 
 中国は関税優遇の停止など「経済的脅迫」(台湾当局)も駆使し、独立派と見なす民進党をけん制。頼氏が当選すれば台湾は「戦争」や「衰退」への道を歩むことになると強調してきた。今後も平和統一の基本方針は維持する一方、民進党政権への軍事、経済的圧力をかけ続けるとみられる。
 頼氏の得票率は前回の蔡氏に遠く及ばず、同時実施の立法委員(国会議員)選では民進党は過半数を確保できなかった。選挙戦では与野党がネガティブキャンペーンを展開、対中政策を巡り激しく対立したしこりが残る。中国に向き合うために台湾社会をいかにまとめていくかも新政権の課題となる。
 蔡政権は中国に対し「挑発も屈服もしない」姿勢で臨み、それを支持する米国と良好な関係を築いた。11月には米大統領選が行われる。台湾海峡の平和と安全を守るためには、次期大統領が誰になっても安定した対米関係を維持することが重要になる。(台北共同=渡辺靖仁)