沖縄渇水対策連絡協議会は16日の臨時会で、ダム貯水率が平年よりも低く、低下ペースも速いことなどから、節水を呼びかけることを決めた。生活に欠かせない水が断水すれば影響は甚大となるため、今後も少雨が続くという最悪の事態を想定して早期の対策が必要とされる。
県企業局によると、渇水を原因とする断水(給水制限)は1994年を最後に実施されていない。若い世代を中心に節水の認識が薄くなっている可能性も考えられ、早い段階での呼びかけに踏み切った。
県内では過去に何度も断水が実施された。県企業局のホームページによると、復帰した1972年から94年までの間に、延べ1130日の断水が行われた。81年から82年にかけては326日間の給水制限が行われ、日本の上水道では最も長い記録という。自衛隊と気象台の協力を受け、航空機から散水する人工降雨作戦も実施された。
その後、ダムの整備などで断水は減少し、94年1月下旬から3月1日まで夜間8時間断水が行われたのを最後に、断水は実施されていない。民家の屋上に多くあった貯水タンクも減少している。
同協議会の会長を務める沖縄総合事務局の河南正幸次長は「前回の給水制限は30年前で、当時の苦労を知らない世代も増えている。また普段からの節水の認識や意識が希薄になっていることも考えられる。広報手段も変化している。状況の変化を踏まえた取り組みが重要だ」として、早い段階から万全の対策をとる必要性を強調した。
今回の貯水率の低下は、少雨に加えて企業局が有機フッ素化合物(PFAS)対策として中部水源からの取水を停止しているため、ダムからの取水量が増えていることも一因という。
北谷浄水場では高機能活性炭でPFASを吸着しているため、取水を再開した場合でも国の暫定目標値を大きく下回る。ただ、協議会では那覇市担当者から「市民への説明責任もあるので受水団体としては気になる。(再開の)目安があれば示してほしい」と質問が出るなど、県民の不安はある。企業局は再開の目安となる貯水率の水準を設けていないが、今後も渇水が続いた場合は断水の回避を最優先として、関係機関と協議し中部水源からの取水を再開する方針だ。
沖縄気象台のデータでは、91年から2020年までの平年値で、名護では5月と6月合計の降水量が511・8ミリと、梅雨時になればまとまった降雨が期待できる。今後、節水努力によって貯水率の低下ペースを緩められるかが大きなポイントとなる。 (沖田有吾)