2年生最後の大会でダンス部の仲間と舞台に立つ与那嶺瑠唯（後列右端）＝2013年3月30日、那覇市の県立武道館アリーナ（LDH JAPAN提供）
藤村 謙吾 「THE RAMPAGE」。2017年にメジャーデビューし、同年12月からのホールツアーでは全国47都道府県全58公演で、総勢約12万人を動員し、一躍その名を全国にとどろかせた。49期の神谷健太（28）と与那嶺瑠唯（28）は小禄高校を卒業した14年の秋、同グループのメンバーに選ばれた。
那覇市出身の神谷は、神原中3年のとき、EXILEの所属する芸能プロダクションのグループ会社が運営するダンススクール「EXPG STUDIO OKINAWA」で、ボーカルの特待生に選ばれる。中学時代はサッカー三昧の日々を送ったが、高校ではスクールのレッスンに集中すると決めた。地元出身の先輩の助言もあり、学生の活動を応援してくれる校風に引かれ小禄高に決めた。
授業が終わると、当時那覇市の国際通りにあったEXPGに行き、歌やダンスに夢中で取り組んだ。部活動への参加を推奨していた小禄高で、クラスメイトの9割以上が何かの部活に加入する中、数少ない「帰宅部員」だった。休み時間、教室では多数派の野球部員やバスケ部員など、部活生同士で集まる光景が広がる。少数派の帰宅部は、自然とクラスを超えて知り合い、長い休み時間には、体育館のトレーニング器具が置かれた部屋に集まった。
「（芸能界は）先が見えない。チャンスを逃してはいけないし、チャンスがあるかも分からなかった」。漠然とした不安を抱えた高校時代、仲間との何気ない会話は、心の支えになった。
EXPGの活動で本土ツアーに参加し、学校を休まざるを得ないこともしばしばあった。「数学や理科の授業が好きだったが、数学は1回休むと次の授業が分からなくなる。授業を休むことが分かると、担任の先生が、授業内容をまとめたプリントを先に渡してくれるなど、親身に支えてくれた」
周囲には帰宅部組の仲間をはじめ、部活に一生懸命取り組む友だちなど、いろいろな人がいた。チャンスをつかむ原動力をもらった高校時代。「夢に向かって頑張る人を目の当たりにしたことがプラスになった。先が決まってなくても、やってきたことを実らせて、輝きたいと強く思えた」。
豊見城市出身の与那嶺は、中学生から親戚のダンススクールに通い、小禄高でもダンス部に入った。同部の同級生男子の中でダンス経験者は与那嶺だけだったが、同年男子チームで出場した那覇市で開かれたダンス大会で準優勝した。
2年生になるとダンス部副部長に就任し、練習の指導や、振り付けの要を担った。同級生のダンススキルも上がり、ダンス大会への出場機会も増え、個人でも本土のダンスバトル大会にも出た。前年に男子だけで出場し苦杯をなめた大会に、今度は同学年全員で出場し、見事優勝して雪辱を果たした。
ダンス部が練習で使っていた、体育館下にある武道場の入り口、ベンチと広場がある空間が与那嶺の思い出の場所だ。ダンス部に限らず、部活を終えた友人と集った場所でもある。「部活が終わり『もう出なさい』と先生に言われるまで、みんなで話をしていた。ようやく移動しても、奥武山公園に行き、またそこでも話をしていた」
ダンス部は3年の春で終わるのが伝統。毎日していたダンスができなくなると思ったとき、EXPGに通う神谷が浮かんだ。神谷のことは、かつて所属したタレントスクールの縁で知っており、文化祭や後夜祭で一緒に踊ったこともあった。訪れた春、EXPGに特待生として入り、「無事」にダンスに青春をささげた3年間になった。
「人との関わり方や、友だちと夢を語り合い、互いに励まし合ったり、一つの目標に向かって走ったりする青春のようなもの、ダンスの振り付けなど、3年間でいろいろなものを経験できた。今の自分に必要なものが詰まった高校時代だった」。1月に放送されたテレビ番組ではコントに初挑戦。活躍の場を広げている。
（文中敬称略）
（藤村謙吾）
【沿革】
1963年4月 開校
68年4月 通信制課程開設式（77年に泊高に移転）
70年7月 全国高校野球選手権沖縄大会で初優勝
71年7月 弓道女子チーム九州総体優勝
83年11月 九州地区吹奏楽連盟主催マーチングバンドコンテスト金賞
87年11月 全国高校サッカー選手権沖縄大会優勝
88年8月 全国高校総体ハンドボール男子で県勢初の全国制覇
90年8月 全国高校総体空手道個人型優勝
98年4月 コース制導入
2004年4月 コース制一部改変
（QRコードから校歌を聞くことができます）
