まだ地上波でプロレスの試合が放映されていた頃、テレビを見ずともお隣さんの悲鳴や歓声で、試合の結果を推し量ることができたのを懐かしむ。
プロレス界では有名だというフォン・エリック家。長男を幼くして失くしたが、次男、三男、四男、五男と4人の子供たちは父親の期待を一身に受けてプロレスラーとなる。父親の夢である世界チャンピオンになるべく、子供たちは懸命に自分を鍛えるのだが、彼らを待っていたのは栄光ではなく悲劇の連続だったため、「呪われた一家」としても有名なのだという。
次男のケビンを演じるザック・エフロンが素晴らしい。鍛え上げた身体で父親と弟たちとの橋渡しをしながらも、嫉妬や焦燥に身をよじらせる。それでも、彼の望みはただ一つ。家族と一緒にいたい、みんなで幸せになりたい、それだけなのだ。
プロレス映画というよりも、家族の愛とありようを描いた映画。ラストの1枚の写真に救われ、思わず感涙。監督はショーン・ダーキン。(スターシアターズ・榮慶子)
有料
アイアンクロー シネマQ、ミハマ7PLEX・公開中 家族の愛とありよう
![アイアンクロー シネマQ、ミハマ7PLEX・公開中 家族の愛とありよう](https://ryukyushimpo.jp/tachyon/2024/04/RS20240409G00637010100.jpg?resize=615%2C410&crop_strategy=smart)
この記事を書いた人
琉球新報朝刊
![Avatar photo](https://ryukyushimpo.jp/uploads/2023/09/favicon-21x21.png)