<金口木舌>土俵の上、積み重ねる星


<金口木舌>土俵の上、積み重ねる星
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 大相撲夏場所で那覇市出身の幕下筆頭、24歳の嘉陽が気迫の電車道で5勝目を挙げた。十両昇進の期待が高まる。県出身で5年ぶり7人目の関取はなるか

▼スピード出世の小結大の里、名門の大関琴桜らの台頭で「日本出身横綱」誕生に注目が集まる。2000年代に生まれた横綱は朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜、照ノ富士とモンゴル勢が占める。唯一の日本人は稀勢の里

▼夏場所の優勝争いのさ中、ヒールのイメージが強かった朝青龍のおい、大関豊昇龍に速攻で裏返された大の里。一閃(いっせん)の下手投げに場内は沸いた

▼モンゴル勢が浴びてきた「日本人頑張れ」「モンゴルに帰れ」というヘイト。明らかな差別は禁じられるべきだが、「日本出身」のかけ声を世間や報道が無意識に許容する風潮もどうか。作家の星野智幸さんは差別を指摘した。今はどうだろう

▼あれこれ考えながら、うるま市出身で幕内4場所目の美ノ海を無条件に応援する。鳥取城北高校で照ノ富士の後輩だった。負けても見応えある31歳の業師は二度目の勝ち越しへあと一勝だ。