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偽りでも確かに家族 かくしごと シネマパレット・きょうから


偽りでも確かに家族 かくしごと シネマパレット・きょうから シネマFOCUS/スターシアターズ/かくしごと
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 重い映画が見たい。夏の日差しがまぶしい、天気の良い休日にそう思った。毎日イヤになるほど快晴で、いっそのことドロリとした映画を見たいという、あまのじゃくな考えだ。本作「かくしごと」は、この気持ちにふさわしい映画だった。 
 主人公は、絵本作家の千紗子。父親が認知症を患い、介護のために帰省している。ある日、傷を負った少年と出会い虐待を疑う。そのまま少年をかくまうことにした千紗子。認知症の父、見ず知らずの少年との、奇妙な共同生活が始まる。支え合う3人だが、絶対に言えない秘密をそれぞれが抱えていた。
 感動作だが、ミステリー要素がつきまとう不安定さとのバランスが巧妙だ。認知症患者、児童虐待という重いテーマを扱いながらも、幸せになろうともがく姿は、誰もが共感できるだろう。
 たとえ偽りの関係であっても、お互いを大切に思う3人は確かに家族であった。正しい行動とは何か、家族とは何かを考えさせられる、心に残る映画だ。(スターシアターズ・玉城愛鈴)