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官房機密費 23年間同額 12億円、社会変化反映せず


官房機密費 23年間同額 12億円、社会変化反映せず 機密費予算計上の推移
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 官房長官が管理し使途が公表されない内閣官房報償費(機密費)の予算計上額が、2002年度から23年間、12億3021万1千円で変動せず、同額を維持していたことが17日、共同通信の調べで分かった。この間、物価変動や東日本大震災、新型コロナウイルス感染拡大など経済、社会的な変化があったにもかかわらず予算額に反映されていない実態に対し「予算計上の根拠がない」と識者は批判している。

 機密費は「国の事務を円滑かつ効果的に遂行するために機動的に使用する経費」とされる。官房長官が出納管理し、使途の報告義務もない。19~22年度に計上された予算がいずれも全額引き出されていた状況が情報公開請求で判明しており、機密費の不透明な実態が改めて浮き彫りになった形だ。

 内閣官房の当初予算を1989年度から調べたところ、同年度の機密費は12億9756万円で、その後増額傾向となった。97年度にピークの13億9261万7千円となり、2001年度まで同額が続いた。02年度に12億3021万1千円へと1億6千万円超の大幅減額となり、その後は24年度まで続いている。

 一橋大の佐藤主光教授(財政学)は「情勢の変化に合わせ、予算が増減しないとおかしい」と問題視。02年度の大幅な減額に関しては、01年の外務省元要人外国訪問支援室長が巨額流用した機密費詐欺事件が影響した可能性を指摘した。

 日本大の岩井奉信名誉教授(政治学)は「使用の実態が分からないので、予算計上が適切かどうかも判断できない。10年後、20年後に公開する対応も検討すべきだ」と述べた。

 機密費を巡っては、19年度からの入金と支出について共同通信が情報公開請求したところ、年度末に国庫へ返納した額は最大20万円程度で、各年度とも予算のほぼ全額を使い切っていたことが判明している。