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官房機密費「普天間の移設先」情報収集に使用 平野元長官が証言


官房機密費「普天間の移設先」情報収集に使用 平野元長官が証言 共同通信の取材に応じる平野博文氏
この記事を書いた人 Avatar photo 共同通信

 民主党政権の鳩山内閣で官房長官を務めた平野博文氏が17日までに共同通信の取材に応じ、在職中の内閣官房報償費(機密費)の使途に関し、米軍普天間飛行場の移設先選定や、北朝鮮による日本人拉致問題を巡る情報収集関係費が多くを占めたと証言した。国会対策や弁護士費用にも充てたと述べた。官房長官経験者が実名で機密費の運用を明らかにするのは異例。 

 鳩山由紀夫首相(当時)は普天間飛行場の県外移設を掲げ、移設先を模索した。平野氏は「県外でどこに出せるか、地元の人と意見交換した。地元同意が重要だった」と言及。協力者への謝礼や意見交換の会場費、交通費などに使用したと説明した。拉致の可能性が否定できない特定失踪者に関する情報を集めるため協力者に支払ったケースもあったとした。

 与党国対幹部らに現金を配ったと明言。「法案を早く通してもらうために必要な費用。渡した後に国対がどう使ったかは知らない」と述べた。官房長官として弁護士を3人ほど雇っていたとも語った。

 麻生政権の河村建夫氏から官房長官を引き継いだ際に「(機密費を保管する)金庫の金は0円だった」と指摘。使途に関する説明もなかったという。機密費の予算計上額が長年同額である点については「引き継ぎがなく、分からなかったため」とし、前例を踏まえて対応したと話した。

 機密費使途の公開の是非に関し「公開を前提にしたら情報が入ってこなくなる。情報収集部分の公開は30年後でも難しい」と否定的な見解を示した。

 平野氏は2009年9月から10年6月まで官房長官を務めた。21年の衆院選で落選した。

 内閣官房報償費 国の事業を円滑に行うため機動的に使うとされる経費。「官房機密費」とも呼ばれ、具体的な使途は公開されない。官房長官の判断で出納管理する領収書不要の「政策推進費」、情報提供の対価として支払う「調査情報対策費」、会合費や慶弔費などの「活動関係費」に分類される。内閣官房によると1947年度に初めて予算計上された。最高裁は2018年、支払額など一部の開示を認めたが、支払先などが特定される部分は引き続き非開示が妥当だとした。