【マニラ共同】太平洋戦争後、フィリピンのリナパカン島に残され、無国籍状態になっていた県系2世の盛根エスペランサさん(86)とリディアさん(84)の姉妹に対し、那覇家裁が日本国籍回復を認めたことが25日分かった。
在フィリピン日本大使館の花田貴裕総領事が5月、国籍回復を支援するため2人を訪問し面接していた。
那覇家裁が9月18日付で、日本の役所で戸籍を新たに作る「就籍」を2人に許可した。審判によると2人の父は日本人で、漁業に従事するため戦前に沖縄県からフィリピンに渡った。2人は父と1935年に結婚したフィリピン女性との間に生まれたが、父は45年に戦死した。家裁は、父系の血統を採用する当時の法律により2人は出生時に日本国籍を得ていたと認定した。
2人には幼少期の父の記憶がほとんどないが、沖縄出身の日本人だと母から教えられていた。2人は通信事情が悪い離島に住んでいる。就籍を支援した「フィリピン日系人リーガルサポートセンター」(東京)は近くオンラインで国籍回復を伝える方針。
エスペランサさんは、自分が父に似ていると親族が話していたと陳述。リディアさんは5月の花田氏らとの面接で、父が生まれた日本に行きたいとずっと願ってきたが、高血圧で体調に不安があると語っていた。
戦後79年を経て、無国籍状態の日系2世は高齢化が進む。日本外務省が支援に本腰を入れているが、外交官の面接後、国籍を回復できないまま亡くなる例も出ている。