昨年4月に宮古島市沖で発生した陸上自衛隊のUH60JAヘリコプターの墜落事故について、陸自は14日、左右二つのエンジン出力がそれぞれ別の要因で低下したとする事故調査の結果を公表した。
最終的に事故につながったと考えられる左側の第1エンジン出力低下については機体の不具合として二つの可能性に加えて人為的ミスの可能性の三つに絞ったが、特定には至らなかった。安全対策を実施した上で同型機の飛行を全面再開する方針を示した。
調査では、飛行中にまず右側の第2エンジン出力が低下し、約37秒後に左側エンジンの出力も低下し始め、高度を保つことができなかったと判断した。
先に出力が低下した右側のエンジンは、徐々に出力が低下する「ロールバック」と呼ばれる現象が起こったと推定。「非常にまれな事象」と位置付けた。事故調査まで陸自もメーカーも把握しておらず、取扱書にも記載がなかった。ロールバックの可能性を踏まえた緊急操作手順を取扱書に記載することにした。
左側のエンジン出力が低下した要因については(1)エンジン制御に影響を与える部位の異常(2)エンジン出力に影響を与える部位の異常(3)搭乗員による操作の誤り―の三つの可能性に絞った。だがいずれも証拠がなく、特定できないと結論付けた。
陸自は再発防止策として事故につながった可能性のある部位の点検回数を増やすと説明。両方のエンジン出力が低下した場合の対応を取扱書に盛り込む。
(明真南斗)