門中 (むんちゅー)


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 日本本土の同族に類似した沖縄の親族集団で、始祖を共通にする父系の血縁集団。17世紀以降、琉球王府の士族階層を中心に沖縄本島中南部で発達し、本島北部や周辺離島に広がったといわれる。門中はムートゥ(宗家)とユダチ、ユダファと呼ばれる分家群で構成される。門中の性格については地域的な偏差が大きいが、共有する門中墓を維持管理し、オコデ(門中の神人)などを中心に各種の先祖祭祀を定期的に行うなどの機能を有するほか、親族集団として日常的な交際や扶助といった場面でも重要な役割を果たしている。日本本土では、家の継承においては婿養子による継承も許容されるのに対して、沖縄の門中は父系血縁(シジ)による継承を貫こうとする強い志向を有し、養子を取る場合にも養子同門制の原則に固執することを特徴とする。そのため、例えば他門中の出身の娘婿が家や位牌(トートーメー)を継承するとタチイマジクイ(他系混交)の禁忌に抵触するとされる。

『最新版 沖縄コンパクト事典』2003年3月・琉球新報社発行、2,415円(税込)