ユタ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 霊的能力で託宣、ト占、病気治療などを行う民間巫者で、ムヌシリとも呼ばれる。多くは女性。ユタの成巫過程は様々だが、一般的には次のような過程をたどるのが多い。すなわち、幼いころより周囲からサーダカウマリ(高い霊的資質を持っている)といわれ、家庭不和や経済的困難などといった何らかの苦悩を経験する。そのような経験が契機となり、神霊の憑依(ひょうい)を受けてカミダーリと称される異常な言動を伴う特異な体験を得る。そして神霊に導かれ、聖地を巡回する間にカミダーリ状態は落ち着き、やがて霊的職能者として成巫する。巫業の内容は、運勢判断や結婚の相性判断、屋敷の風水判断、病気や商売の失敗についての原因判断など生活全般にわたる。なかでもその中心となるのは、祖先崇拝やマブイ(霊魂)に関わる事柄であり、出自の確認、位牌継承に関する助言や儀礼執行、マブイグミやマブイワカシといった呪術儀礼があげられる。

『最新版 沖縄コンパクト事典』2003年3月・琉球新報社発行、2,415円(税込)