沖縄・兵庫を結ぶ伝統芸能公演「あた果報ぬ御祝」


 琉球新報社と沖縄県人会兵庫県本部は、同本部の創立70周年を記念して、沖縄と兵庫を結ぶ伝統芸能公演「あた果報ぬ御祝」を兵庫県尼崎市のあましんアルカイックホール・オクトで17日に開催いたします。兵庫、大阪で活躍している芸能実演家と沖縄の人間国宝や国指定重要無形文化財「琉球舞踊」保持者をはじめ、県指定無形文化財「琉球舞踊」保持者、伝承者の共演です。それぞれの芸能実演家が舞台を通して技芸の向上と親交を深めるために取り組む初めての舞台です。

ごあいさつ


琉球新報社代表取締役社長  富田 詢一

 沖縄県人会兵庫県本部創立70年記念 沖縄・兵庫を結ぶ「あた果報ぬ御祝」が開催されますことを皆様とともに喜び、一言ごあいさつを申し上げます。

 今年は戦後70年、そして沖縄県人会兵庫県本部も70年という節目の年を迎えました。ふるさとを遠く離れても、常にふるさとに想いを馳せ、故郷に誇りをもってに頑張ってこられた兵庫県の沖縄県人会の皆様に深甚なる敬意を表します。

 本日は沖縄と兵庫、大阪の芸能実演家の皆様が沖縄県人会兵庫県本部の創立70年を記念して、祝いの御座を開きます。このような形の舞台はこれまで実現しておりませんでした。

 これを機に、これからは、お互いの芸の資質の向上と交流を深められますよう期待をしております。沖縄人はどこにいても、どこに暮らしても、心はいつも故郷にむかっています。そして、過酷な歴史の中で、人々を慰め、支えてくれたのは、歌・三線・芸能でした。歌や踊りを通して、自然や神々とともに生き、感動を共有してきたのです。人から人へと伝えられてきた芸能は、生活の中で見事に華開き、隆盛を極めております。

 沖縄から人間国宝の宮城能鳳、国指定需要無形文化財「琉球舞踊」保持者の玉城節子、玉城秀子、県指定無形文化財「琉球舞踊」保持者、伝承者の先生方が、格調高い舞台を務めます。合わせて兵庫、大阪でご活躍の先生方との共演の舞台は、必ずや感動を与えてくれることでしょう。

 琉球新報社は地域との連携を深め、課題と展望を探り、活性化を後押しするため、「新報移動編集局」を開催しています。沖縄県人会兵庫県本部創立70年を記念して、この兵庫の地で開催いたします。県人会と故郷・沖縄の関係をさらに深め、県人の絆を一層、強めることで本土の県系社会と沖縄の相互発展につなげようと企画しました。

 今回の移動編集局では、長年、県人社会の発展に尽くされてきた沖縄県人会兵庫県本部のみなさま、本土の県出身のみなさまのご奮闘に敬意を表し、その労をねぎらいたいという思いを込めての舞台でございます。

 結びに、今回の新報移動編集局と記念公演を足掛かりに、本土の沖縄県人会が益々発展し、沖縄とのつながりが強化されることを祈念致します。



 

沖縄県人会兵庫県本部会長 大城健裕

 我が県人会は終戦の年の昭和二十年十一月に第一回の定期大会を開いてから、今年は七十回目の定期大会を迎えることになり、八月二日には記念大会として、各界の御支援、御協力により盛大にとり行うことができました。

 かつて先人、先輩の方が昭和二十四年に神戸の地に県人会活動の拠点として沖縄会館を建設し、その後焼失したにもかかわらず再建し、色々な困難を乗り越えて現在まで県人会を支え続けてこられました。その先人、先輩の功績があったからこそ、現在の県人会が存在しているではないかと思います。

 終戦の年に外地から引き揚げて来られた方、徴用工として働かされた方々が沖縄に帰れず、行き場がなくて路頭に迷う状況の中、その人たちの救援活動に携わったのが、当時の沖縄県人会の人たちです。そのことが県人会創立の原点でもあるわけです。沖縄が祖国復帰するまで、我が県人会は復帰運動に全エネルギーを注いだといっても過言ではありません。パスポート代行手続、集団就職への慰問活動、沖縄の結核患者の国立療養所入寮の厚生労働省への働かきかけ等々、県人会活動の一部ですが、すべてが沖縄の祖国復帰に繋がっているわけです。

 今年は、沖縄県人会兵庫県本部が創立して七十年ということで、琉球新報社から共催イベントとして沖縄・兵庫を結ぶ伝統芸能公演「あた果報ぬ御祝」の誘いがあり、この催しには人間国宝の宮城能鳳先生をはじめ、重要無形文化財琉球舞踊保持者の玉城節子先生、玉城秀子先生、また琉球舞踊の先生方が多数参加される一大イベントであり、我が県人会にとっても後世に語り継がれ、県人会の歴史の一頁に残るものと期待しております。そのため皆様方には、御支援、御協力の程お願い申し上げますとともに、これを機会に沖縄・兵庫の絆が益々深まります事と、「あた果報御祝」を企画して頂いた琉球新報社に感謝申し上げまして、あいさつとさせて頂きます。



 

プログラム 

  昼の部(第1部)
1 琉球古典音楽斉唱「かぎやで風、恩納節、御縁節」
2 長者の大主
3 瓦 屋 節
4 秋の踊り
5 加那ヨー
6 貫 花
7 むんじゅる
8 辺野喜節
9 でいごの花心
  (第2部)
10 四ッ竹
11 今帰仁の城
12 谷茶前
13 仲里節
14 新川大漁節
15 浜千鳥
16 本花風
17 髙平良万歳
18 醜 童
  夜の部(第1部)
1 琉球古典音楽斉唱「かぎやで風、恩納節、御縁節」
2 長者の大主
3 寿の舞
4 浜千鳥
5 かせかけ
6 夏 姿
7 谷茶前
8 仲里節
9 花 風
10 波平大主道行口説
11 金細工
12 日 傘
13 首里城賛歌
14 髙平良万歳
15 パーランクー
16 でいごの花心