講演内容08


講演内容08


自民も民主も苦しい


 そういうことになるということは、民主党と自民党を比べて、その議席差がある程度ついて民主党が勝った状況の時です。こういう状況になると、初めて小沢代表が言っておられるような政界再編、つまり自民党から造反が出て総選挙に追い込まれるというようなことが起こってくるということです。


 そういう点でいうと、民主党は結構かなり苦しい戦いをして、自民党も苦しいけど民主党も苦しいというのは、そういう意味でありまして、同じような苦しさではない、違う苦しさなのです。そういう苦しさでありますから、そのところを見ておかなければいけないということであります。


 そろそろ時間であります。今後の政党対立でございます。ときどき、政党対立というのは、今度の参議院選挙が終わりだということを言っている人もいます。私は、おそらくそうではないと思います。今の状況からいうと、国民はかなり選択肢を広げてきて、民主党も現実化しているので、そういう点でいうと、政党対立が続いていくだろうと思われます。


 欠けているのは何か。自民党は何をやって、民主党は何をやるかというその政権目的についてのイメージが出来ないことだというふうに思っています。どちらも改革といっていますので、区別がつかないではないかと。


 逆にいうと改革というのはいろいろ種類がありますよという事を言わなければ、おそらく次の政権交代はありません。しかし、おそらく必ずそういう事をいうことを言うようになるだろうと思っています。対立軸は何だろうか。大きな政府だとか小さな政府とか、軍事国家とか、平和国家とかいろいろ言われます。私はそうではないというふうに思っております。そんなのは両極端な意見に賛成するのはどこにもないので、だいたい中ぐらいでやって欲しいことだと思うのです。


安心再生型


 そうすると何であろうかというと、政権のやり方であります。今やっているのは安心再生型というふうに私は名づけております。ちょっと不具合があったら不具合のところだけ取り替えるだけです。


 しかし戦後のやり方はそれなりに生き返らすようにします。あれほど騒いだ小泉内閣はいくつかやっています。道路公団の民営化をしたけれど道路は建設されます。それから郵政の民営化はしますが郵政事業はなくなりません。10年ぐらい前からいうと、間接金融から直接金融へというので、郵貯というのは縮小するのだという話もあったのですが、そうではなくてちゃんと生き残っていこうという形になっています。大改革ではありますけれども、枠組みは守られるということであります。だからこそ安心して出来るということがあるわけです。


 それに対して、民主党が対抗しようと、違うタイプの改革であります。今日は時間がありませんからあまりお話はしませんが、例えば年金一元化とはどういうことだろうかというと、働き方によって年金の種類が違うのはおかしいではないのかということです。公務員をやっていてもサラリーマンをやっていても自営業者でも、納めたお金に応じて年金を貰うというのが公平ではないのか。最後の時の給料で決まるのはおかしいのではないのか。そんな風に問いかけると別の改革案が出てくる。


 こうした具体的な問題を体系化して、大きな違う日本のイメージというのを出していくことなしには民主党はおそらく勝つことはできないし、しかしその可能性は十分あるということです。そういう点で構成的視座構造といって、ちょっと難しいことですけれど、ちょっと大きなビジョンを示してやっていこうということです。


 自民党は非常に実務的な政党であります。問題がでてきてから個別問題を処理して、それで信任を得て、安心感を与えて、任せておいてくださいという。そうでない政党。しかし、今やや古くもなったように見えますけれど、民主党は若い政党で、若手政治家をみると、それとは別の思考方法をもっている。また、政治家だけではなくて支持者の質が違うことがございます。つぎはぎではなく、大きな話を求めるという動きがあると、それが自民党と対抗する動きになってくる。それがどうなるのだろうかというのは、将来の見通しです。


 ただし、そのためには両党ともひとつ必要なことがあるのです。日本の政党の最大の弱点は、国会議員を中心に一生懸命「票をくれくれ」と言うけれども、そのあたりの人がボランティアでは余り働いていないということです。つまり下の方から日本をこうして欲しいという意見を積み上げて集約する機能に弱いです。何となく、ちょこちょこと政策を作っているけれど、有権者と本当に政策の相談をしているのかという点で言うと、自民党も民主党もどちらも弱いというところが改まっていかないと、なぜ困るかというと改革をしないと、これまでやらないといけないです。


有権者と政策相談を


 ところが改革にはやはり光と影があります。その時に有権者とじっくり相談をしなければ、いかなる改革も根付くことはできないからであります。そういう点でいうと政党をもう少し強化しよう。草の根のところから政党が地元の具体的な問題をしっかりと有権者と議論するという事ではないかと思います。


 これぐらいにいたします。ご清聴ありがとうございました。(拍手)


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