編集後記


編集後記


●…20数年前、社会主義の国々・東欧を訪ねた時、びっくりしたことがあります。電車やバス、タクシーなどの運転手に女性がたくさんいたことです。男性専用の職種とばかり思っていたので、初めて見た光景に驚いたのです。でも直きに新鮮さも覚えました。最近でこそ、女性の建築設計士や大型車両の運転手なども特に珍しくなくなりました。逆もまたあります。「保母」と呼ばれるとおり女性だけだった保育の世界に男性が続々進出し、名称も「保育士」に変わっています。


●…松原亘子さんは講演で、小学生の時から家庭科が大の苦手だったことを明かし、隣の男子の方が裁縫はうまかったと話しました。松原さんのこの経験は示唆的です。性別が職種を決めるのではなく、個々人の適性、能力、好みが決めるのだと思います。固定観念を取り払うと、違った世界が見えてくることを松原さんは教えてくれました。


●…小学生の時の経験がもとで、女性労働問題に長年取り組んでいるのかどうかは分かりませんが、どこかで繋がっているのかもしれません。松原さんは駐イタリア大使も務めました。現在、商社の社外取締役も務めています。均等法以前風に例えると松原さんの仕事ぶりは「男顔負け」というのでしょうか。この「男顔負け」という表現は今やあまり耳にしなくなりました。死語になったか、死語に近いのだと思います。女性の社会進出、活躍が定着してきたひとつの証でしょう。



(池間)