【写真特集】沖縄、過去の最強台風を振り返る 風速80メートル超は2回


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台風21号の暴風で崩れ落ちたとみられる瓦屋根=2015年9月29日(与那国町提供)

 沖縄・南大東島で最大瞬間風速51.6メートルを記録した台風10号。沖縄県では観測史上2回、風速80メートルを超す風を記録している。

 最初は1966年の「第2宮古島台風」。54年前の9月5日、観測史上歴代2位の最大瞬間風速85.3メートルを記録した。宮古島では住宅90%が全半壊、農作物全滅、重軽傷22人という甚大な被害が出た。

第2宮古島台風の被害の様子。古屋総務副長官が視察に訪れた=1966年9月10日
第2宮古島台風で、完全につぶされた教室の前で自分の机を探す平良第一小学校の生徒たち=1966年9月

 風速85.3メートルは時速に換算すると307キロで、日本一速いとされる新幹線「はやぶさ」の最高速に迫る。ちなみに歴代1位は1966年9月25日の富士山で、風速91.0メートル。

 もう1回は、2015年9月28日の台風21号。与那国島で瞬間最大風速81.1メートルが記録されており、こちらは観測史上4位。住宅の被害は322戸(全壊10戸)、電柱40本以上が折れ、農作物を合わせた被害額は1億円を超え、固定電話の不通も長いこと続いた。

台風21号の風で飛ばされ半分沈んだ状態の漁船=2015年9月29日、与那国町久部良漁港(第11管区海上保安本部提供)

 風速ではこの二つの台風には及ばないが、2001年の台風16号は久米島で最大瞬間風速50.8メートル、期間降水量967.5ミリの記録的な大雨を記録した。渡名喜島の渡名喜小中学校の体育館は屋根を吹き飛ばされた。

 

台風21号の風で倒壊した建物=2015年9月29日、与那国町祖納(石垣海上保安本部提供)
台風21号の暴風で傾いた電柱=2015年9月29日、与那国町

2018年9月の台風24号で、根元から倒れた高さ約25メートルの琉球金宮観音菩薩像。この台風では、南城市で最大瞬間風速56.2メートルを観測し、本島や宮古など約25万戸が停電した=沖縄市知花の東南植物楽園(小型無人機で撮影)
2001年の台風16号で、屋根を吹き飛ばされた渡名喜小中学校の体育館(右奥)。校舎も瓦がはがれ、写真手前のビニールハウスの鉄骨はぐしゃぐしゃにひしゃげている=2001年9月13日、渡名喜村

 2003年9月11日の宮古を襲った台風14号は、最大瞬間風速74.1メートル、最低気圧は912ヘクトパスカルを記録。強風で割れたガラスなどで1人死亡、93人が重軽傷を負った。宮古島地方の全世帯の96%に当たる2万900世帯で停電した。
 
 910ヘクトパスカルで沖縄本島を直撃したのは2012年8月26日の台風15号。南大東村で最大瞬間風速40.1メートル、名護市でも38.1メートルを観測し、1万戸以上が停電した。同じ年の9月28、29日に石垣、宮古両島や沖縄本島近くを通過した台風17号では、87人が重軽傷を負い、一時、県内の全世帯の過半数となる約33万4400戸が停電した。最大瞬間風速は那覇市で61.2メートルを観測した。

2003年9月の台風14号で、見渡す限り倒れた電柱=宮古島・城辺町
2003年9月の台風14号で、なぎ倒された狩俣集落の電柱
2012年の台風17号による強風で横転したトラック=29日午前9時7分、那覇市前島、国道58号