イルカの赤ちゃんが相次ぎ誕生 職員が出産を24時間サポート もとぶ元気村


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母レオ(左)と元気に泳ぐレグルス=16日、本部町のもとぶ元気村

 【本部】本部町浜元にある「もとぶ元気村」で14日、4月21日に続いて別個体のバンドウイルカの赤ちゃんが誕生した。一般的なイルカの出産成功率は3割と低い。同時期に赤ちゃんが相次いで2頭生まれるのは初めてという。先に生まれたイルカは雄で「レグルス」と名付けられ、2番目は雌で「テモ」に決まった。2頭はそれぞれ母親に寄り添いながら、気持ちよさそうに泳ぎ回っていた。

 レグルスは、しし座を示す母親の「レオ」の名にちなみ、名付けられた。現在は体長120センチ、体重は30キロほど。テモは母の「ディッパー」が英語で北斗七星を示すのと関連し、ラテン語で北斗七星の意味を与えた。体長は115.5センチ、体重は20キロ。

 2頭のイルカは人工授精で誕生した。同施設ではこれまでイルカの人工授精を7度試みたが、無事出産できたのは3例のみ。早産などが死因だった。職員らは約1年の妊娠期間、日々の体温検査に加えて採血検査、超音波検査など定期検診を欠かさず実施した。体温低下など出産の兆候が出ると24時間体制でサポートした。

母ディッパー(右)にくっついて泳ぐテモ=16日、本部町のもとぶ元気村

 イルカは高い泳力を誇るイメージがあるが、生まれたての赤ちゃんの泳ぎはおぼつかない。息継ぎがうまくできず、潜水時も尾ひれが空を切ってしまう。壁にぶつかりそうになると、母イルカが体を寄せて方向を変えてあげるなど優しくサポートしていた。

 トレーナーを務める石黒新さん(25)は「イルカの赤ちゃんを飼育するのは初めて。自分も共に成長し、2年後にはお客さまに触れ合い体験のプログラムを提供できるようにしたい」と笑顔で話した。