軽石、転じて壺屋焼…彩り豊かに「マグマ釉」 読谷の相馬さん「自然の恵み、さじ加減」


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軽石を活用した釉薬で仕上げた壺屋焼の皿を手にする相馬正和さん=11月16日、読谷村座喜味

 【読谷】読谷村座喜味の「壺屋焼陶眞窯」の窯主で、伝統工芸士の相馬正和さん(72)がこのほど、県内の海岸に漂着し問題となっている軽石を活用して、壺屋焼の器を制作している。軽石を砕いて土や灰などと配合し、素焼きの後に塗る「釉薬(ゆうやく)」を独自で開発した。大量に漂着し処理や活用が課題となっている軽石。相馬さんは「生かすも殺すもさじ加減だ」と話し、現在も軽石を使った壺屋焼の創作に取り組んでいる。

 相馬さんは9月18日にキャンプで東村のビーチを訪れた際に、山のようにあった軽石を見つけた。「海底火山が噴火したというニュースを見たので、軽石だと思った」と振り返る。

 普段から独自で釉薬を作っており、ガジュマルの灰やサトウキビの灰など、自然の素材を見つけては取り入れている。東村で拾った軽石も工房に持ち帰り、乳鉢で砕いて土や灰と混ぜて釉薬にした。

 塗る濃さで黒褐色やあめ色などと表情を変え「十分使える」と手応えを感じた。海底火山の噴火で流れ着いた軽石で作った釉薬のため、「マグマ釉」と名付けた。

 今後は自身の個展で、軽石を使った壺屋焼を発表する考えだという。「いただいた自然の恵みで作った壺屋焼だ。農業者など、多くの場面で軽石が生かされてほしい」と話した。
 (石井恵理菜、写真も)


 

 

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