元留学生「沖縄のお母さん」に妻を連れ再会 名護「彩」の新城さん「立派になって…」


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 【名護】名護市の名護十字路近くのダイニングバー「彩(あや)」にこのほど、沖縄工業高等専門学校(名護市)の元留学生、ラヒル・ワナマルさん(32)=スリランカ出身=が妻のヘランカ・カウシャリャさん(30)を伴って訪れた。ラヒルさんが名護にいた頃に交流していた市民らに再会するためだ。「彩」で歓迎会が開かれ、ラヒルさんが「沖縄のお母さん」と慕う「彩」の店主、新城文さん(74)は「立派になって会いに来てくれた。感無量だ」と目を細めた。

ダイニングバー「彩」の新城文さん(前列中央)ら名護市の関係者らとの再会を喜ぶラヒル・ワナマルさん(同左)ら=11月1日、名護市大東(新城文さん提供)

 新城さんは粟国島出身。子育てが一段落した1990年代後半に名護市大東に「彩」を開業した。常連客らに家庭料理などを振る舞う傍ら、ボランティアとして名護市で開催されている「世界の家庭料理フェア」に参加し、名桜大学や沖縄高専の留学生らと交流してきた。

 交流イベントでラヒルさんに出会ったのは10年ほど前。「何かの縁だよ」とラヒルさんら留学生たちを店に招いて常連客や友人の地域住民らと交流の機会をつくったり、沖縄料理をごちそうしたりしてきた。

 休日は北谷町のアメリカンビレッジなど観光スポットにドライブがてら案内した。物静かだったラヒルさんは次第に打ち解け、スリランカの風習などについていろいろ話すようになったという。

 ラヒルさんは沖縄高専卒業後、宇都宮大学、同大大学院に進学し、横浜市の外資系企業に就職した。同じスリランカ出身で東京大学大学院卒のカウシャリャさんと結婚し、紹介も兼ねて彩を再訪した。ラヒルさんは「沖縄では新城さんが車で買い物や観光に連れて行ってくれた。困ったことはないか、などとよく気に掛けてくれたので心強かった」と懐かしそうに話す。

 新城さんは「交流を通して海外の価値観や習慣、文化に触れ、刺激を受けられる名護は小さな国際都市だ。たくさんの市民が交流の機会を持つことができたら」と笑顔を見せ、留学生と市民の交流が広がることに期待した。
 (松堂秀樹)