【宜野湾】沖縄本島や離島など県内各地の集落に伝わる「守り神」として保存されてきた「神獅子」を30年にわたって撮影してきた宜野湾市のカメラマン、呉屋善昭さん(65)が集大成となる写真集を発刊した。集落によっては年に1度や4年に1度などの頻度でしか表に出ない神獅子だが、県内126地域・130頭の神獅子を収録した。地域の人たちの信頼を得て撮影の協力や承諾を受けて写した神獅子の表情や獅子舞の様子を紹介している。
呉屋さんはまたコロナ禍で旧盆や十五夜の獅子舞の中止が続く中、自ら撮りためた写真や他の資料写真、動画などを参考にし、県内全158地域・198頭の神獅子を紙粘土で再現したミニチュアも製作した。「獅子舞は地域の疫病退散などを願って舞われてきたが、コロナでそれもできない。せめて何かできないかと思い、ミニチュアで再現してみた」という。
今年5月から作り始め、県工芸士で獅子工の仲宗根正広さんの助言も得て製作した。足上げや立ち方などの各獅子舞の特徴も再現し、毛並みはできるだけ本物と同じ素材を仕入れるなどして細部にこだわった。宜野湾市真志喜の呉屋さんのスタジオで展示している。
発行した本は、獅子舞の表情と解説などを交えた写真集「獅子加那志(がなし)」と、地域での獅子舞の様子や御願など行事の様子を収めた「おきなわの獅子舞」の2冊。共に税込み2千円。自主出版のため初版は50冊のみ印刷し、残りは注文を受けてから製作し、市真志喜のスタジオで販売する。
呉屋さんは「神獅子なので最初は撮影を断られたりしたが、通い続けて撮影を認めてくれた地域もあった。保存会の皆さんへの恩返しとしても形に残すことにした」と説明した。問い合わせは呉屋さん(電話)090(3196)4131。
(島袋良太)